ドル115円以上なら生産コスト増で不満も=渡辺JBIC副総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史副総裁(元財務官)は12日、
記者団との懇談会でドル/円相場が115円以上の円安に進めば
燃料費の増加による国内生産コストの上昇が問題視される
との見方を示した。

95円を切る円高も輸出産業の不満を呼ぶ可能性が
あるとして現状は国内の不満が出にくい水準と述べた。

渡辺氏は仮に115円まで円安が進むと、原子力発電所
すべて再稼働しない限り電気料金上昇要因になるため、
「めぐりめぐり生産コストを上げる」。

「素材すべてを日本国内で調達できない限り、
円安が輸出に効かない状況になる」と述べた。

このため現状の為替水準は「この水準が適切とは
(財務)大臣も(日銀)総裁も絶対言わないが、
少なくとも文句を言うひとが少ないレベル」
との見解を示した。

今年の為替動向については、「本来は2013年度後半に
もう少し円安が進むべきだった」とし、「米緩和縮小観測で
新興国から引き揚げた資金が日本と欧州に向かったため、
(5月以降)ドル/円が95〜100円のレンジに留まった」と分析。

今後は「米国次第」と指摘した。

米連邦準備理事会(FRB)の緩和縮小について、
バーナンキ現議長は失業率が7%を切り目標の
6.5%に向かう方向感を確認すれば実施する
可能性があるが、イエレン次期議長は「目標である
6.5%が目の前に見えてこないと(緩和縮小に
踏み切らない)、といったニュアンスの差がある」と指摘。

「米緩和縮小がそう早く進まないなら円安はそれほど
急激に進行しない気がする」との見通しを示した。