輸出の弱さ懸念材料、賃上げに外需重要=11月日銀会合議事要旨

日銀が26日公表した議事要旨によると、
11月20〜21日の金融政策決定会合では、
委員らが輸出の回復ペースの弱さに懸念を
示していたことが明らかになった。

来春の消費増税の影響や、企業の
賃上げ動向をめぐっても議論が交わされた。

委員らは、輸出について「持ち直しの
勢いの弱さが懸念材料」との見方で一致。

ある委員は「人口減少などの構造問題を
抱えるもとで、デフレ解消の観測だけで
企業が内需の成長期待を高め、大幅な賃上げに
踏み切るとは考えにくい」ため、「賃金の上昇が
実現するためには、外需の動向が重要」と指摘した。

来年4月の消費税引き上げが景気・物価に
与える影響をめぐっては、一人の委員が
「実質賃金にマイナスに作用するが、
経済全体にどの程度の影響を及ぼすかは、
やや長い目でみた賃金の上昇期待などに
よっても変わり得る」と指摘した。

何人かの委員は10月の消費者態度指数が
下落したのは「消費税率引き上げの決定が
影響している」とも述べた。

賃金をめぐり一人の委員は「大企業で賃上げが
実現しても、中小企業への波及は限定的、
マクロでの影響は限られる」と指摘。

これに対して、「東京商工会議所の調査などをみると、
中小企業でも賃上げに前向きな姿勢を示す先も
現れている」との見方も出た。

7〜9月の実質国内総生産GDP)が今年前半よりも
減速したことについて、一人の委員は「一時的な
減速ではなく、成長率の基調が下方シフトしたことの
表れではないか」とも述べた。

物価の先行きをめぐっては、ある委員が「世界的な
ディスインフレ傾向の中で、日本の物価が国内独自の
要因で伸び率を高めていくかどうか注視している」と指摘。

「欧州のディスインフレ傾向の
強まりには注意が必要」との声も出た。

一人の委員は「消費者物価の前年比の
上昇ペースは今後次第に鈍化する」と述べた。

長期金利の動向について、 複数の委員が
「何かのきっかけで金利の変動が大きくなる
リスクには引き続き注意が必要」と指摘した。

同日の会合では政策の現状維持を決定。

会合後の記者会見では黒田東彦総裁は「2年程度で2%」の
物価目標は「実現に向けた道筋を順調に進んでいる」
としつつも、シナリオが狂った場合は「政策の余地が
ある」と語った。