中国の「影の銀行」セクターでデフォルト、吉林省信託組成の投資商品で=報道

実態が見えにくいことから懸念が広がっている
中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」問題に
絡み、中国の国営メディアは12日、負債を抱えた
石炭会社、山西聯盛能源への融資を裏付けとした
高利回り投資商品の返済が滞った、と伝えた。

この商品は吉林省信託が組成したもので、
中国建設銀行(CCB)を通じて富裕層の顧客から
2億8900万元(4770万ドル)の資金が集められた。

上海証券報がこの信託商品の投資家の話として
報じたところによると、償還日は2月7日だったが、
資金がいつ返済されるかめどが立たないという
吉林省信託からの通達をCCBが伝えてきたという。

償還期日が過ぎており、テクニカル・
デフォルトとなっているものの、
吉林省信託は投資家の資金を
取り戻すために努力しているもようだ。

同紙によると、匿名の吉林省信託関係者は
「われわれが知る限り、当社の資産に問題はない。
当社は投資家と交渉中だ」と述べた。

ロイターは今のところ、吉林省信託から
コメントを得られていない。

問題の商品は「松花江(77)号山西福
能源項目収益権集合資金信託計画」
の第4トランシェ。

2012年2月に投資家から2億8900万元を集め、
年率9.8%のリターンを約束していた。

同紙によると、2011年終盤にローンチされた
第1〜3トランシェ(計4億7400万元)も
昨年終盤に期日を迎えたが、予定通りには
償還されなかった。

第5〜6トランシェ(計2億0900万元)は
今後数週間以内に償還を迎えるという。

返済の遅れによるテクニカル・デフォルトは
これまでにも発生しているが、市場関係者は、
投資家が損失を強いられる前例となるデフォルトを
影の銀行セクターが待っている状態だと指摘している。

こうしたデフォルトが実際に発生すれば、
高利回り商品でも国有銀行の暗黙の保証が
あるという、一般に広まった考え方が
覆されることになる。

ただ、吉林省信託は依然として投資家への
返済方法を模索しているとみられる。

中国の影の銀行部門をめぐっては先月、
今回と同様に山西省の石炭会社向け融資を
裏付けとする投資商品がデフォルトが
懸念される事態となったものの、匿名の
投資家が裏付け資産を購入したため、
投資家が損失を回避できたという経緯がある。