ECB、中銀預金のマイナス金利を「非常に真剣に検討」=クーレ専務理事

欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は、
ユーロ圏全体により均一に資金が回るよう
ECBの中銀預金金利をマイナスに
引き下げることは「可能性が大いにある
選択肢」との見方を示した。

同氏はマイナスの中銀預金金利について、
ECB内で「非常に真剣に検討している」
選択肢だと述べた。

ただ「期待し過ぎるべきではない」
とも付け加えた。

ロイターのユーロ圏サミットで語った。

物価情勢について同氏は「ユーロ圏で
デフレは確認されていない」と指摘。

「低インフレ状態で、緩やかだが
2%に再び上昇しつつある」と述べた。

同氏は、インフレ率がどの程度の低さまでなら、
副作用を起こさずに済むのかについて
ECB内で議論されたと指摘。

「まだその段階ではないが、そうした
シナリオを引き起こす恐れがあるネガティブな
ショックにわれわれは警戒し、反応できるように
する必要がある」と述べた。

需要の弱含みが低インフレの主要因となった
可能性があると同氏は分析したが、ユーロ圏で
総需要が上向きつつあるとの認識も示した。

同氏は、金融政策の指針「フォワドガイダンス」
について、特定の数値基準などと結びつける考えに
否定的な立場だ。

ドラギ総裁は先週、2016年の見通しを含む
新たな情報と分析が3月上旬には入手可能に
なると述べ、3月緩和に対する市場の警戒感を
強める格好となっている。

クーレ氏は「スタッフ予想と理事会の決定に
機械的な関連性はない。ユーロ圏経済で
確認される様々な動きに関するわれわれの
理解によるところが大きく、こうした動き
自体が複雑だ」と述べた。

新興国市場の動揺について同氏は
「これまでのところ、ユーロ圏への
大きな波及効果はみられず、慎重ながらも
楽観的な見方を持つ根拠となっている」
と話した。

また同氏は、域内行の資産査定(AQR)に伴い、
各行の資産圧縮が促される恐れもあると指摘した。

その上で、各行が融資の縮小でなく、資本増強で
資産状況を整えることが望ましいとの考えも示した。

さらにドイツ憲法裁判所が、ECBの無制限債券
買い入れ策(OMT)について、金融政策の責務を超え、
財政ファイナンス禁止に抵触する恐れがあると
指摘したことを受け、同氏はOMTは引き続き
利用可能との認識を示した。

同氏は「OMTの状態は変わっていない。
利用できる準備が整っているが、
当面使うことが必要となる可能性は
相当低いだろう」と述べた。