英中銀が2015年の利上げ示唆、18の指標で経済の緩み判断へ

イングランド銀行(英中央銀行BOE)は
12日公表のインフレ報告で、2014年の
国内総生産GDP)伸び率が3.4%
(従来予想2.8%)になるとの見通しを
示すなど、向こう3年間の経済成長率見通しを
大幅に上方修正した。

1年余りのうちに利上げが
必要となる可能性を示唆した格好だ。

BOEはまた、金融政策の指針となる
フォワドガイダンスを見直し、英経済の
余剰資源に関する幅広い指標を注視すると
表明した。

BOEは英経済に存在する余剰資源の度合いを
示す企業調査や労働時間など18の指標に
注目すると表明。

前年8月に導入したフォワドガイダンスでは、
失業率が7%に低下するまで金利を据え置く
としていた。

ただBOEは、「政策金利を引き上げ始める時、
向こう2、3年間に緩みを解消し、インフレ率を
目標近辺にとどめるための適切な道筋は、
緩やかなものとなる」と説明した。

BOEが失業率以外の幅広い指標に注目する
としたことは、フォワドガイダンス導入以前の
方針に回帰したことを示す。

BOEは、市場が2015年第2・四半期の
利上げを織り込んでいると指摘。

市場予想に沿った利上げは、消費者物価指数
(CPI)上昇率をBOEが目標とする2%近くに
維持することと整合的だとの見解を示した。

また、金利上昇は漸進的になると強調し、
最終的な英金利水準は金融危機前の平均である
5%をかなり下回る水準になるだろうとした。

ただ現時点では英経済には緩みが存在しているため、
物価上昇のリスクを招くことなく政策金利
過去最低水準の0.5%に維持することが
可能になると表明。

カーニー総裁は、「政策金利は雇用、所得、
消費の伸びに即した道筋を持続可能な形で
たどっていくとのメッセージを企業や
家計に伝えたい」とし、「中銀は金利
注意深く調節する。今回の回復において
リスクをとらない」と述べた。

同総裁はまた、昨年導入した
フォワドガイダンスの正当性を主張。

フォワドガイダンスは機能している」と
強調した上で、「経済が力強く回復し、金利
めぐる不透明感が後退、そして何よりも企業が
メッセージを理解しているにもかかわらず、
予想されている金利は低くとどまっている」
と説明した。

BOEの発表を受けて、ポンドは対ドルで
2週間ぶりの高値をつけ、英国債価格は下落した。

最新の失業率は7.1%まで低下し
フォワドガイダンスで示した水準に
近づいている。

BOEは11〜1月の3カ月の失業率が7%に
低下したと見込んでおり、来年初めまでに
さらに6.5%に低下すると予想した。

カーニー総裁は、利上げの必要性を
検討するにあたっては、失業率だけでなく、
企業調査や労働時間など幅広い経済指標を
注視する意向を示した。

英経済は8月以降、年率3%で成長しているが、
生産は2008年のピークを2%下回っている。

BOEの2014年成長率見通しは
大半のエコノミストより強気だ。

BOEは、国立統計局が第4・四半期の
成長率を過小評価しているとみられることが
1つの要因だとした。

CPI上昇率については、3月までに1.7%に
鈍化するとの予想を示した上で、今後数年間は
2%近くで推移する見通しだとした。

生産性の見通しについては
3カ月前よりも悲観的との見解を示した。