政策判断は増税の反動減確認後とは限らず=森本日銀審議委員

日銀の森本宜久審議委員は20日和歌山市内で会見し、
4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要と反動減に
関連して、経済指標などの実績を確認してから今後の
金融政策運営を判断するとは限らないと語った。

その上で、日銀見通しの基本的なパス(道筋)に
変化が生じているかどうかを毎回の会合で見極めて
方針を決めると述べた。

森本審議委員は同日午前の講演で、今後の
金融政策判断について、消費税率の引き上げに
伴う駆け込みと反動という振れを均した上で、
「2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を
順調にたどっているかどうかが重要なポイント」
と指摘した。

会見では「今後の政策判断は、反動減を
見極めた上でという理解でいいか。増税後を
にらんだ予防的な対応は必要ないということか」
との質問が出た。

これに対して森本委員は「経済・物価情勢の展望」
(展望リポート)においても消費増税に伴う
駆け込みと反動を考慮しているとし、金融政策判断に
ついて「実績をしっかり見てからという事に
限定しているわけではない」と明言。

その上で「何らかのリスク要因の顕現化によって
見通しに変化が生じて、必要ならば調整を行う。
見通しの基本的なパスに変化が生じているか
どうかを毎回、見極めていきながら方針を
決定していく」と語った。

森本委員は午前の講演で、新興国・資源国の一部で
構造問題や米金融緩和の縮小などを背景に資金流出の
動きが見られており、「実体経済への影響も含めて
今後も注意が必要」と警戒感を示した。

会見では、先進国の立ち直りとともに、
構造的な問題を抱えた一部の新興国についても
回復していくとの見方だ、と述べた。

日銀は18日の金融政策決定会合で、今年3月が
期限となっていた貸出増加支援と成長基盤強化支援の
ための貸出支援制度について、それぞれ規模を
2倍とした上で、1年間延長することを決定した。

森本委員は、制度の拡充・延長によって
「金融機関の積極的な行動を後押しし、
金融緩和の波及ルートを強化することを
期待している」と語った。