アジア新興国からの資金流出、成長力低下が問題=黒田日銀総裁

日銀は21日、黒田東彦総裁が公益財団・
世界平和研究所向けに執筆した論文を公表した。

アジア新興国からの資金流出について先進国の
金融政策の影響はあるものの、根本的には
成長力低下が問題と指摘した。

一方で外貨に依存するぜい弱な金融構造を
改善するには、域内債券市場などの課題が
重要との持論を強調した。

黒田総裁は、アジアは1990年代の通貨危機で、
1) 銀行による短期の外貨資金調達、2)企業の
銀行融資に対する過度な依存、という
2つのぜい弱性が露呈したと指摘した。

その上で日本銀行の呼びかけによって1991年に
設立された東アジア・オセアニア中央銀行役員会議
(EMEAP)など「アジア域内の豊富な貯蓄を
域内で有効活用するため、現地通貨建て債券市場の
育成を図る」ことの重要性を強調した。

ただ、昨今のアジア新興国からの資金流出に
ついては、国ごとにばらつきがあるとして
「先進国の金融政策運営のあり方が一定程度
影響しているとしても、より根本的な問題から
目をそらすことは適当でない」と分析。

金融危機後の世界経済の回復を主導してきた
新興国の成長見通しがいく分低下したところで、
各国固有の経済構造のぜい弱性に改めて焦点が
あたった」とした。