イエレン米FRB議長「景気減速は寒波が一因」、緩和縮小継続を示唆

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は27日、
上院銀行委員会で証言を行い、最近の米経済の弱含みは
異例の寒波が一因であるようだとの見方を示し、
量的緩和の縮小を継続する方針を示唆した。

天候が本当に景気減速の要因かどうか、FRB
状況を注視していると述べたが、緩和縮小の
停止には経済見通しが著しく変化する必要が
あるとの考えをあらためて示した。

多くの地域が記録的な寒さに見舞われた米国では、
小売売上高や製造業、雇用に関する指標が
軒並み弱い内容となっている。

来週発表の2月の雇用統計で雇用者数の伸びが
12月、1月に続き低調な結果となれば、FRB
緩和縮小を停止するとの見方も一部では浮上している。

議長は「最近の一連のデータは確かに軟調だ。
異例の寒波が一定の影響を与えていることは
確かだと思う」と指摘。

「これらの弱い指標に関し、どの程度が
天候要因で説明がつくのか、もし見通しの
悪化による影響があるならそれがどの程度なのか、
向こう数週間でより正確に把握するよう努める」と述べた。

またイエレン議長は緩和縮小に関して、
あらかじめ決まった軌道にはないとしたが、
秋のいずれかの時点で買い入れを終了する
との認識を示した。

最近の経済の弱含みの主因が天候ではないと
判明した場合、FRBは緩和縮小ペースを見直すか
とのシューマー上院議員ニューヨーク州)の
質問に対しては、見通しが著しく変化すれば
見直す可能性を排除しないと答えた。

一方で「この件に関して結論を
急ぎたくない」とも述べた。

議長の証言を受けた金融市場の
反応は限定的だった。

米株は小幅高で推移する一方、
ドルは対ユーロで下落した。

議長は、金融緩和がバブルを生む可能性については
「(低金利で)金融安定を脅威にさらす行動が
引き起こされる可能性がある」と発言。

「このため、この点について非常に
注意深く注視する必要がある」と述べた。

「(信用の伸びが)潜在的に懸念すべき傾向に
ないかにも注意している」とも発言。

「現段階では懸念していないが、私たちが
懸念を抱く分野が一部存在する」とし、
「例えば、引き受け基準、レバレッジ融資は
明らかに悪化しているとみられる。こうした
問題には、監督指針や特別検査という問題で
対処しており、この分野で強い警戒を続ける」
と述べた。

失業率6.5%の数値基準については「完全雇用
示す失業率について、決まったルールが
あるわけではない。幅広い指標を考慮する必要が
ある。委員会の多くのメンバーがこの点を
強調しており、私も同意する。定性的な指針の
方向に向かっている」と述べた。