物価目標の達成、雇用環境次第である程度時間かかる=白井日銀審議委員

日銀の白井さゆり審議委員は27日に米国の
コロンビア大学で講演し、2%の物価安定目標達成までの
期間について、日本の雇用・所得環境の改善ペース次第では、
ある程度時間がかかる可能性があるとの認識を示した。

2%目標が安定的に持続するまでには、
さらに時間がかかる可能性があるとしている。

今後の金融緩和の要否や内容は、「安定的に2%が
定着する社会の実現」という視点から判断すべき
との考えを示した。

講演内容を日銀がホームページ上で公表した。

日銀は、昨年4月の異次元緩和導入に伴い、
2%の物価安定目標の達成期間について
「2年程度の期間を念頭に置いて、
できるだけ早期に実現する」としている。

白井委員は、この目標達成期間に対して
「国内の雇用・所得環境の改善ペース」によっては、
「ある程度時間がかかる可能性を以前から意識している」
と表明。

続けて物価2%の達成後にその水準を安定的に
持続する状況になるには「さらに時間が
かかる可能性もある」とした。

その上で、2%が安定的に持続する状況になるまで
「金融政策面でのサポートは必要」とし、今後の
金融政策運営について「経済・物価の動向を
分析しながら、安定的に2%が定着する社会の
実現という視点から判断すべき」と語った。

白井委員は、先進国の中央銀行が非伝統的な
金融緩和策を展開する中、緩和手段として
「コミュニケーションを積極的に活用しよう
という意識の高まり」があると指摘。

日銀としても、2%の物価安定目標を掲げる中で
国民とのコミュニケーションの必要性が
「これまで以上に必要とされている」とし、
フォワドガイダンス」が異次元緩和でも
重要な柱を形成していると語った。

具体的に日銀では「フォワドガイダンス」として
「2%の物価安定の目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、
できるだけ早期に実現する」、「量的・質的緩和は、
2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に
持続するために必要な時点まで継続する。その際、
経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を
点検し、必要な調整を行う」ことを示している。

白井委員は、前者について「2年程度という
期間ベースと、2%という閾値ベースの二つの特徴を
兼ね備えたフォワドガイダンスと解釈されうる」とし、
2年程度という期間については「幅を持って
解釈されるものだ」との認識を示した。

一方、後者は「条件付きのコミットメント」と指摘。

前者よりも「長い時間軸を示唆している」とし、
安定的な物価2%が達成されるまで「出口
に向かわないことを示している」と説明した。