材料あるも、大きく動けず

今週の為替相場は、大きな材料はあるものの、
大きく動けない展開が続きそうです。

一番の大きな材料は、ウクライナ情勢です。

クリミアがロシアに併合され、それを見守った
欧米諸国の姿勢を見る限り、今後、ロシアが
ウクライナに侵攻しても、欧米諸国は
何もしないと見ています。

言葉での批判はしても、ロシアと
対峙する可能性はなくなりました。

ロシアも、直接的な武力侵攻ではなく、
選挙を通じてウクライナを分裂させて、
次々とロシアに併合させるという方法で、
欧米諸国には口出しさせないと思います。

これに対し、欧米諸国は打つ手がありません。

当初から、ロシアの介入に曖昧な、あるいは
容認する姿勢をオバマ米大統領は見せていました。

また、米国世論も、軍事介入には
否定的な見方を強めています。

米国が世界の警察官として、紛争地域に
乗り込むことに辟易としているのです。

そうした世論もあり、オバマ大統領としては、
積極的な介入には二の足を踏んでいるわけです。

ロシアは軍事力を行使しても、
ウクライナを取りに行ってます。

欧米諸国は軍事力を
行使する気持ちがありません。

この結果、ウクライナ情勢で
武力紛争は起こらないことになります。

有事の動きには繋がりにくくなるわけです。

大きな材料でも、ウクライナがロシアに
併合されるのが既定路線ということになると、
市場が材料に出来なくなるわけです。

この中、米国では来年4月の
利上げが意識されています。

FOMCで、超緩和策の解除が
粛々と行われる一方、失業率を
金融政策の指針から外しました。

イエレンFRB議長は、来年4月に
利上げに転じる姿勢を鮮明にしました。

利上げ前夜という賑やかしさはないものの、
利上げ態勢に入ったと言えることは出来ます。

問題は、そんな楽観的な状況か、ということです。

いつまでも、超緩和策を継続
出来ないのは、自明の理です。

だから利上げを行うのは
大丈夫なのでしょうか。

新興国をはじめ、不確実性が
強まっているなかで、来年のことを
決めて良いのでしょうか。

いつも、金融危機を起こすのは米国です。

指導者が短慮過ぎて、
世界に迷惑をかけるのです。

その轍を踏まないと良いと思います。

また気掛かりな材料は、中国の
不動産バブルの破裂と、地下銀行問題です。

不動産バブルは確実に弾けています。

日本より酷いかも知れない
実態がなかなか伝わりません。

本当のことが明らかになった時に、
世界はどうなるのでしょうか、心配です。

予想レンジは、
ドル円が99.20〜104.20円、
ユーロ円が138.20〜144.20円、
英ポンド円が166.20〜173.20円、
ドル円が88.20〜94.20円。