ユーロ圏はデフレサイクルに陥っておらず=独連銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの
イトマン独連銀総裁は29日、ユーロ圏は
デフレサイクルに陥っておらず、ECBは
インフレ率の鈍化に過剰反応すべきではない
との見方を示した。

ベルリンで開かれたカンファレンスで述べた。

総裁は、ユーロ圏インフレ率低下の約3分の2の
要因はエネルギーと食品価格の下落かもしれないと指摘。

「現在のインフレ率に関し、ユーロ圏は名目上の
デフレの定義である物価の持続的下落状態にはない」
と述べた。

ECBの現在の金融政策については言及しなかった。

総裁は、消費者は物価下落を見込んで買い物を
先送りしているということはなく、独連銀としては
景気回復が漸進的にインフレ率を押し上げると
見込んでいる、とした。

その上で「これは、長期間の成長低迷が政策当局者に
とって問題にはならないということではない」とし、
自身はユーロ圏諸国における一段の構造改革などを
支持していると述べた。

一方、総裁は「極端な低金利が金融の安定性に
リスクがあるということは私から見れば明らかだ」
とし、企業が低金利に慣れてしまう可能性が
あると警告。

「結果的に必要な構造変化が進まないことを
意味するかもしれない」とした上で、「金融安定性に
対するリスクは究極的に価格安定性のリスクに
なるかもしれない」と述べた。