物価目標達成に支障きたせば「躊躇なく政策調整」=日銀総裁

日銀の黒田東彦総裁は11日、20カ国・地域
G20財務相中央銀行総裁会議閉幕後に
麻生太郎財務相とともに共同会見に臨み、
日本経済は2%の物価目標への道筋を順調に
たどっているが「まだ道半ば」と述べ、
目標達成に支障をきたすようなことがあれば、
躊躇なく必要な金融政策の調整を行う用意が
あると語った。

G20会合では「日本経済は生産・所得・支出の
前向きなメカニズムが働き、2%の物価目標への
道筋を順調にたどっていることを説明した」とし、
日銀の金融政策に対して「特に注文や批判はなかった。
日本の金融政策に関する理解は十分進んでいる」
と語った。

一方で黒田総裁は物価目標に向け
「まだ道半ば」とも指摘。

「物価目標の達成に支障がきたすようなことがあれば、
当然、躊躇なく必要な金融政策の調整を行う用意は
ある」と語った。

金融政策に関する声明文のメッセージは
「前回2月のシドニー会合と基本的に
変わっていない」と強調した。

黒田総裁は「金融政策について、シドニー
声明はかなり詳細に書いてあるが、今回は
経済政策として一括りにして書いてある。
それぞれの国がその経済政策を動かす上で
コミュニケーションを良くするとか、
世界経済に対する影響を十分考慮して
行うという趣旨」が書かれているとし
「内容は基本的に変わっていない」と説明した。

麻生太郎財務相は、G20では、4月からの
消費税引き上げ実施と消費増税に伴う
反動減対策などを説明し、「日本のこうした
取り組みは、経済成長と財政健全化を両立させる
観点から、各国の理解が得られたと考えている」
と述べた。

混乱が続くウクライナ情勢に関して会議では
「さらに地政学的不透明性の低減に向けて
G20が緊密に連絡することが重要」と
指摘したことを明かした。

声明文にも発言を反映させる形で「ウクライナ
おける経済状況を注視し、経済や金融安定への
いかなるリスクにも留意している。そして
ウクライナ当局が意義深い改革に取り組むなか、
IMFが最近ウクライナに関与していることを
歓迎する」との文言が盛り込まれているとした。

対ロシア追加制裁について麻生財務相
「欧州やG8各国の動静をみながら
検討したい」と述べるにとどめた。

前回シドニー会合で合意した「5年で2%の
成長率底上げ」目標に向けて、日本として
「年央に予定されている成長戦略の改定に
向けて作業を進めていきたい」と語った。