米インフレ率上昇見込む、成長は依然緩慢=NY連銀総裁

米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は20日
米国のインフレ率が年内に上昇することを
見込んでいるとしつつも、米経済に存在する
「余剰能力」が物価上昇圧力を緩和させている
との見解を示した。

ダドリー総裁は講演で、向かい風はこれまでほど
強くないものの、経済成長の軌道には依然として
失望していると述べた。

総裁は、インフレ率は上昇しているものの、
急速なペースではないと強調した。

さらに米連邦準備理事会(FRB)が目標とする
2%が上限というわけでないとし、「物価特有の
ボラティリティーによって、インフレ率が2%
ちょうどで推移することはまずない」と述べた。

さらに「インフレ率が2%を下回って推移するのと
同じくらいの期間、2%を若干上回って推移する
期間があると想定している」と語った。

労働市場に存在するスラック(緩み)は、失業率が
示唆しているほど大規模でない可能性があるとの
一部エコノミストの主張については、結論を
急ぐべきではないとし、「インフレを下押ししている
一部要因は一時的なもので、(統計の)前年比の
数字から影響は薄れ始めている」と強調した。

また、FRB保有債券の償還資金の再投資停止を
利上げ開始後まで遅らせるべきとの見解を支持する
と語った。

同総裁は、市場のボラティリティー低下や
流動性の低い資産への投資などへの懸念を表明した。

総裁はゆがみによる悪影響が出ているところは
ないとしながらも、市場のボラティリティーは
現在2006〜2007年と同水準で「異例なまでに
低い」と指摘。

債券市場だけでなく、外為や
株式市場も同様だと述べた。

「このボラティリティーの低い状況に慣れ過ぎて、
結果的に大きなリスクをとろうとする動きを
懸念している」と語った。

米10年債利回りが低水準になっている理由について
総裁は「債券市場で小さなバブルが生じているか、
実質均衡レートの予想が低下しているか、
のどちらかだ」と分析した。

その上で「われわれは歴史的に見て極めて
緩和的な金融政策をとっているが、経済は
あまり速く成長していない。これがある程度
示唆している」と述べた。