需給ギャップ解消「思いのほか速い」=日銀議事要旨

日銀が26日公表した議事要旨によると、4月30日の
金融政策決定会合では、同日の会合で決めた「経済・
物価情勢の展望(展望リポート)」の議論の中で、
足元の需給ギャップがゼロ%近辺に改善していることに
ついて「思いのほか速いペース」との見解を何人かの
委員が示していたことがわかった。

これは少子高齢化の進展などで「供給の天井」が
低くなっていることを示すとし、成長戦略の実行などで
潜在成長率を引き上げていくことが重要と指摘している。

日銀試算の需給ギャップは、昨年10〜12月期で
マイナス0.1%とほぼ解消している。

会合では、この背景について議論が行われ、
何人かの委員は「思いのほか速いペース」と指摘し、
労働集約的な非製造業中心に景気が回復する中、
少子高齢化リーマン・ショック後の設備投資の
先送りなどで「やや長い目でみて、日本経済の
供給の天井が低くなっていることを示すもの」
との見解を示した。

その上で、これらの委員は、持続的な経済成長には
「成長戦略の実行などにより、潜在成長率を引き上げて
いくことが重要」と指摘し、政府・民間の取り組みを
促している。

展望リポートでは、物価上昇率が2015年度にも
目標とする2%に達し、その後も2%程度で安定的に
推移するシナリオが描かれた。

多くの委員が、労働市場を中心とした国内需給の改善や、
予想物価上昇率の高まりを背景に物価上昇圧力が続くと主張。

何人かの委員は、企業の価格転嫁は今後も続くとし、
ベースアップを含めてこうした動きは「需給バランスに
対する物価上昇率の感応度を高め、予想物価上昇率
高める」との見方を示した。

一方、別の委員は予想物価上昇率が2%に
向かって上昇することの不確実性は高いと指摘。

今後、円安の物価押し上げ効果がはく落する可能性が
高い中で、労働需給タイト化などが物価をどの程度
押し上げるかは「不確実」とし、予想物価上昇率
「2%に向かって収れんしていくのは難しい」と述べた。

ある委員は、供給制約に伴う賃金・物価の上昇は
「持続的でない可能性がある」と表明。

企業の価格転嫁についても複数の委員が「動きが
広がっていくかは、国内需要の堅調さが維持されるかに
かかっている」と述べている。

4月の消費税率引き上げの影響については、
実質可処分所得にマイナスに作用するものの、
政府による経済対策などが影響を減殺する
との見方で一致。

もっとも、1人の委員は「昨年度後半頃からの
消費マインドの悪化を懸念している」と言及した。

会合では、展望リポートの記述について
複数の委員が反対票を投じた。

佐藤健裕審議委員は、物価見通しのリスクを
「下方にやや厚い」などに、木内登英審議委員は
先行きの物価について「概ね現状程度の水準で
安定的に推移する」などに、白井さゆり審議委員は
目標とする物価2%の到達時期について「見通し
期間の終盤にかけて」などに変更するよう、
それぞれ提案したが、いずれも否決された。