デフレリスクを注視、兆しあれば行動する用意=ドラギECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は26日、低インフレ、
インフレ期待の低下、信用の収縮という悪循環が進行する
リスクを特に注視する姿勢を示した。

また、デフレの兆しがあれば、伝統的手段や的を絞った
措置を講じる用意があることを示した。

総裁は中央銀行に関するフォーラムの講演で、
インフレ期待の低下を防ぐために、「より予防的な
措置が正当化される可能性がある」との見方を示した。

総裁の発言は、他のECB当局者の発言と同様に、
6月5日の理事会で行動を取る可能性を示唆した形と
なった。

総裁は、インフレ率がECBの目標である「2%を
下回るが2%に近い水準」に緩やかに戻るとの見通しに
変更はないが、「ECBの責務は、起こり得るシナリオの
リスクを警戒し、リスクが顕在化した場合に行動する
体制を整えておくことだ」と述べた。

総裁は「個人的に、現時点で特に注意しなければ
ならないと考えているのは、特に経済が悪化している国で、
低インフレ、インフレ期待の低下、信用の収縮という
悪循環が進行するリスクだ」と指摘。

ディスインフレ期待が定着するリスクがある」と述べた。
総裁は個々のシナリオでどのような対応が必要になるかも明言。

為替レートや市場の動きによって、正当化できない
金融の引き締まりがみられた場合は「伝統的手段の
調整が必要になる」としたほか、インフレ期待が
不安定化した場合は「幅広い資産買入れプログラムの
背景になる」と指摘した。

総裁はまた、信用供給が制限されているために
金融政策の波及が阻害される問題に言及。

「金融政策が十分に効果を発揮するためには、
銀行システムを通した信用供給が制限される
べきではない」とした。

また、流動性供給オペのようなバランスシート上の
資金供給あるいは資産担保証券(ABS)の買い入れ
といったバランスシート外の資金供給が、一時的な
与信の制約による景気回復への悪影響を和らげる
可能性があると付け加えた。

総裁は、経済が悪化している国では、信用の縮小が
景気の回復を妨げる要因になっていると指摘。

ユーロ圏の物価上昇率は、ユーロ高で
抑制されるとの見方を示した。