金融政策に翻弄される

今週の為替相場は、各国の金融政策を
睨みながら、一進一退の動きが予想されます。

市場では、当初、米国は年内にも
利上げに転じるとの見方が支配的でした。

米景気が堅調に推移し、雇用統計も
好調に転じるなかで、超緩和の解除の
テンポが早まるとの見方が強まっていました。

利上げを遅らせてはいけないとの見方も根強く、
利上げに転じるのは年内との強気の声も
出ていました。

米地区連銀の中からも、早期利上げを主張する声が
強まり、あとは利上げのタイミングだけと見られていました。

しかし、利上げを真っ先に織り込むはずの、
米長短金利が反応しません。

市場の利上げは必至との見方に反して、
金利は低下している状態です。

最近になって、FRBは年内に引き締めに
転じることはない、との見方が強まって来ました。

引き締めに転じるには、まだまだ材料不足
との読みも出ています。

今、ドルが軟調な推移を見せているのは、
過度な金融引き締め観測が後退したものと
見た方が素直ではないでしょうか。

一方、ユーロは軟調な推移を継続しています。

ECBが追加緩和を行った時には、
材料出尽くし感から、ユーロが
買い戻される動きが見られました。

しかし、その後の欧州中銀幹部の発言で、
追加緩和の余地がある、まだ出来る手段はある、
との声がユーロ売りを誘いました。

ECB幹部は、ユーロ圏がデフレに陥ることを
否定していますが、実はECBが最も恐れているのは、
ユーロ圏のデフレ入りで、その危険が排除出来ないことで
焦りがあるように見えるのです。

ドイツのメルケル首相も、デフレ問題に言及しています。

欧州共通の危機がデフレだということではないでしょうか。

だから、ユーロは買えない通貨という認識になります。

他方、円は予想外の底堅い動きとなっています。

4月の消費税率の引き上げで、立ち直りかけた
日本経済に大打撃を与えると見られていました。

この結果、日銀は追加緩和を
余儀なくされるとの見方が支配的でした。

しかし、実際には日本経済への影響は
軽微なものにとどまりました。

だから、日銀は追加緩和を行う必要が
なくなったと見られているのです。

各国の金融政策の事情で、為替相場
一喜一憂状態というわけです。

予想レンジは、
ドル円が98.20〜103.20円、
ユーロ円が135.20〜141.20円、
英ポンド円が168.20〜174.20円、
ドル円が91.20〜97.20円。