米FOMCやや速めの利上げペース想定、長期金利予想は低下

米連邦準備理事会(FRB)は18日まで開催した
連邦公開市場委員会FOMC)で、予想通り
債券買い入れ額を月額100億ドル縮小し、
350億ドルにすることを決定した。

同時に公表された経済見通しでは、来年の開始が
見込まれる利上げのペースがやや速まったが、
長期の金利見通しは従来見込みから低下した。

FRBは今年の米成長率を2.9%程度から
2.1〜2.3%に下方修正した。

だが2015、2016年については据え置き、景気回復が
総じて順調に継続するとの見方を示した。

インフレ見通しはほぼ変わらず。

2%を超える水準は想定されていない。

資産買い入れは、国債が200億ドル、エージェンシー
発行モーゲージ債(MBS)が150億ドルにそれぞれ減額される。

イエレン議長は、足元の経済に自信を持つべき
理由について、消費支出の底堅さや労働市場
回復など、多数列挙した。

2014年の成長率見通しを下方修正したことについては、
寒波など「一時的な」要因の結果であり、景気回復は
進行している、との認識を示した。

議長は会見で「経済活動は第2・四半期に持ち直しており、
緩やかなペースで拡大が継続する」との見方を表明。

完全雇用と2%のインフレ目標に向かって
「経済は引き続き前進している」と述べた。

一方、長期成長率予想には「若干の
引き下げ」があったと指摘。

これを裏付けるかのように、長期のフェデラルファンド
(FF)金利見通しは、4%から3.75%に低下した。

「米経済の長期的な潜在能力に対する
自信が後退している兆候を示唆した。

3.75%という数字は、ダドリー米ニューヨーク連銀総裁が
指摘しているFF金利の歴史的な水準である4.25%を
下回っている。

FRBは総じて、インフレ率が緩やかに上昇し、
失業率は低下、経済は向こう2年間、
長期トレンドを上回る3%前後で成長することが
見込まれるという状況に、依然として
満足しているもようだ。

その証拠に、当局者らが予想する
利上げペースが、前回の予想よりも速まった。

FRBは2008年12月に
実質ゼロ金利政策を導入。

最近では景気回復に伴い、利上げの時期と
ペースの決定が重要課題となっている。

FF金利の引き上げ時期について、
16人中12人が2015年と予想。

2015年末時点のFF金利の予想中央値は1.125%と、
前回の1.00%を若干上回った。

2016年末時点の予想中央値は、前回の2.25%に対し
2.5%と、より積極的な利上げペースが見込まれていることを
示した。

ただ金利の予想は3カ月前よりもばらけており、
FRB内でコンセンサスが形成されつつあるという
状況からはほど遠いと言えそうだ。

米国株式市場はFOMC声明には反応薄だったが、
イエレン議長のコメントが伝わると上昇。

S&P総合500種は終値で過去最高値を更新した。

10年債は価格が上昇、利回りは2.59%に低下した。

FOMC声明は前回4月会合からほとんど変更はなく、
「現行の(ゼロから0.25%という)FF金利
目標誘導レンジを資産購入の終了後も相当な
期間維持することが適切になるだろうと
引き続き予測している」と改めて表明した。

また、雇用は拡大しているものの、失業率は
高止まりしている、としたほか、インフレ率は
目標の2%をなお下回っている、と指摘した。

イエレン議長はかねてから、各メンバーの
金利見通しについて、委員会の今後の動きを
示すものでは必ずしもない、と警告している。

特に今回は新たなメンバーが2人加わったほか、
クリーブランド地区連銀総裁も変わったため、
前回の3月の見通しとの比較が難しくなっている。

議長は、危機対応の時期が終焉を迎えるなか、
金融政策をどう遂行していくのかについて、
FRB内で合意はできていない、と認めた。

FRBは、ほかの非伝統的措置については、
詳細な出口戦略は示さず、「委員会は保有する
政府機関債とMBSの償還元本をMBS
再投資し、米国債の償還金を新発債に
再投資する既存の政策を維持」した。

つまり、FRBの4兆3000億ドルの
バランスシートは、当面は維持されることになる。

政策当局者は現在、バランシスシートをいつ、
どのように縮小するのかを議論している。

さまざまな危機対応プログラムによって
銀行システムに巨額のマネーが注入されるなか、
金利をどのように管理していくのかも、
大きな課題になっている。

イエレン議長は「前進はしているが、
結論には至っていない」と認めた上で、
より詳細な計画を年内に発表する、
との方針を示した。

FRB当局者は、2014年の成長率見通しを
下方修正するにあたって、寒波の影響を
考慮したと見られる。

米商務省が先月発表した第1・四半期の
国内総生産GDP)改定値は、
前期比年率1.0%減と、速報値の
0.1%増から下方修正された。

エコノミストは、それ以降のデータでは
経済の一段の縮小が示唆されている、
と指摘している。

成長は最近持ち直しの兆しを見せているが、
住宅セクターなど弱い面も残る。

FOMC声明では「経済見通しと労働市場
とってのリスクはほぼ安定していると
みている」とされている。