英中銀が住宅ローン規制発表、総裁「価格抑制目的でない」と強調

イングランド銀行(英中央銀行)の金融行政委員会(FPC)は26日、
金融安定報告書を公表し、住宅市場の過熱を抑制するため、
住宅ローン規制を導入することを明らかにした。

10月から、新規の住宅ローンの85%について、
融資額を借り手の所得の4.5倍に制限する。

英国では低金利などを背景に住宅価格が高騰。

上昇率は全国平均で年10%前後、
ロンドンでは20%前後に達している。

中銀のカーニー総裁は会見で「今回の措置で、
融資が所得の伸びを過度に上回る事態は防げるだろう。
中期的に景気の拡大を阻害しかねない高リスク融資への
傾斜と負債の拡大を防ぐことが可能だ」と述べた。

総裁は、今回の措置は弱い賃金の伸びが過去の
住宅価格上昇に追いつくよう設計されたとし、
来年まで大きな影響が出るとは想定していない
と述べた。

「仮に賃金が思うように伸びなければ、規制による
影響が早まり、住宅価格にも波及する」としている。

総裁はまた、今回の規制措置で抑制を目指しているのは、
債務水準であって上昇価格ではないとも強調した。

市場では、今回の住宅ローン規制は懸念されていたほど
厳しくないとの見方が多く、住宅建設株は5%以上
値上がりしている。

総裁は、今回の規制が金融政策に
影響する可能性は低いとも発言。

これを受け、国債価格は下落した。

総裁は「(住宅ローン規制が)金融政策の方向性に
影響を及ぼす可能性はあまりない。現時点では、
予測の対象期間中は限定的かつ緩やかな利上げが
予想されている」と述べた。

カーニー総裁はまた、チャンネル5ニュースに対し、
これ以上厳しく住宅ローンを規制すれば、住宅市場に
打撃を与えるとの考えを示した。

融資額を借り手の所得の3倍に制限したらどうなるか
との質問に対し、そうなれば現在の住宅ローンの
半分以上を制限すると指摘。

「住宅市場が反転し、景気回復にも影響を与える
恐れがあり、それは行き過ぎだ」と述べた。

英住宅金融貸付組合は、今回の規制について、
地方よりもロンドンの住宅ローンに影響する
可能性が高いと分析。

ロンドンでは、融資額が所得の4.5倍を超える
住宅ローンが全体の20%を占めるが、
ロンドン以外では10%未満にとどまるという。

今回の規制は、年間の融資額が1億ポンド
(1億7000万ドル)を超える金融機関に適用される。

中銀は、住宅価格を直接管理するのではなく、
住宅ローンの過度の拡大を防ぐことを重視する考えを
示していた。