米FOMCが景気判断引き上げ、労働市場の緩みも強調

米連邦準備理事会(FRB)は30日まで開催した
連邦公開市場委員会FOMC)で、景気判断を
引き上げてインフレが目標に近づいている
との認識を示す一方、利上げを急がない姿勢を
再確認した。

成長が加速し、失業率が低下したとの認識が
示されたものの、労働市場の緩みに懸念が残ることも強調。

声明では「労働市場状況は改善し、失業率は
さらに低下した」と認めつつも、「各種労働市場統計は、
労働資源が依然、著しい未活用状態にあることを
示唆している」とした。

FOMC声明は前回6月時点から変更されており、
事実上のゼロ金利政策の解除に若干近づいたことを示唆した。

FOMCの決定を受け、米国株はやや上昇。

一方、米国債は下げ幅を広げ、
ドルは上昇を維持した。

予想より若干早い段階で最初の利上げが
行われるとの観測が強まったことが背景。

金利先物市場では来年初めに利上げを
開始するとの予想確率が高まったものの、
来年6月の利上げ開始を織り込む流れが
大勢となった。

FOMC声明は、債券買い入れ終了後も事実上の
ゼロ金利を相当な期間継続する方針を改めて示した。

フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は、
この文言が景気の勢いを適切に反映していないとして、
反対票を投じた。

また声明は、失業率の「高止まり」という
前回の文言が削除される半面、労働市場の緩みは
強調されており、FRB当局者らは労働統計全般を
にらみつつ、労働市場全体の健全性については
依然満足していないものとみられる。

こうしたなか、インフレ面では「インフレ率が
いつまでも2%を下回って推移する可能性は
多少後退したと委員会は判断する」とした。