QQEのメカニズム、2%達成のため政策調整する要素含む=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は1日、都内で講演し、
昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和
(QQE)」は目標達成に必要であれば、
政策調整を行うという要素を含んでいる、
と語った。

日本経済は、QQEの効果によって、2%の
物価安定目標の実現への道筋を順調に
たどっているとし、目標達成に改めて
自信を表明した。

黒田総裁は、足元で消費者物価(生鮮食品除く)の
前年比上昇率が1%台前半に上昇していることについて、
QQEが所期の効果を発揮し、「ほぼ見通しどおりに
物価が上昇してきている」と評価。

先行きも人手や設備の不足感の強まりという
需給ギャップの改善、予想物価上昇率の高まりが続き、
「2%の物価安定目標の実現に向かっていくと
考えている」と語った。

その上で「仮に何らかのリスク要因によって、
見通しが下振れ、2%を達成するために必要となれば、
躊躇なく調整を行う」と指摘。

QQEのメカニズムには、物価2%目標達成への
「強く明確なコミットメント」の帰結として、
「そのために必要な場合には調整する、という
要素も含んでいることを強調しておきたい」
と表明した。

また、人手不足など供給制約が顕在化している中で、
先行きの成長を懸念する声が出ていることに関し、
「短期的な経済の動きと中長期的な成長力の問題を
区別して論じる必要がある」と主張。

短期的にみた場合は、供給問題で「特定の
業種・企業で事業展開が制約されることは
あり得る」としながらも、労働や資本の効率を
上げたり、効率性を高めることで「潜在成長率を
上回る成長を実現することは可能」と語った。

一方、中長期的には「経済の成長力は供給力に
規定されるので、これを引き上げていく努力が必要」
とし、政府による成長戦略の着実な実行と企業の
積極的な取り組みに期待感を示した。

総裁は日本経済について「日本経済は2%の
物価安定目標の実現に向けた道筋を順調に
たどっている」とし、消費税率引き上げに伴う
駆け込み需要の反動はみられているが、
「生産・所得・支出という前向きな循環は
しっかりと働き続けており、基調的には
緩やかな回復を続けている」と説明。

雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費
底堅い動きを続け、企業部門の前向きな動きも
「さらに明確になってきている」と語った。

低迷する輸出については「円高修正にもかかわらず、
横ばい圏内の動きが続いている」と指摘。

背景として、生産の海外シフトや情報関連財の
競争力低下など「構造的な下押し要因が働いている
可能性がある」としながらも、「基本的には、
ASEAN諸国をはじめとした新興国経済の
たつきといった循環的な要因が大きい」
との考えを示した。

米国の異例の寒波や、消費増税に伴う駆け込み
需要への対応など「輸出を下押しする一時的な
要因が減衰しながらも、春先頃までは
なお残っていたことも考えられる」とした。

ただ、海外経済は「先進国がけん引役となる
かたちで緩やかな回復が続く」とし、先行きの
輸出は「海外経済の回復などを背景に、緩やかに
増加していく」との見通しを維持した。