英中銀が賃金見通し引き下げ、利上げ急がず=インフレ報告

イングランド銀行(英中央銀行BOE)は13日、
インフレ報告を公表し、賃金の伸び見通しを
大幅に引き下げるとともに、賃金動向が利上げの
時期やペースを決定する上で重要な要素になる
との方針を示した。

中銀が利上げを急がない姿勢を示したことで、
市場では早期の利上げ観測が後退した。

今年の賃金伸び率見通しは1.25%とし、
5月時点の予想2.5%から引き下げた。

2015年の伸び率については、3.25%
との予想を示した。

英中銀はインフレ報告で「現在の緩みの度合いに
関する増大した不確実性を考慮し、(金融政策)
委員会はコスト、特に賃金の今後の見通しを
注視する重要性を指摘した」とした。

中銀インフレ報告の1時間前に英国立統計局
(ONS)が発表した、4〜6月期の英国の
週間平均賃金(ボーナスを含む)は、
前年同期比で0.2%減少し、2009年
3〜5月以来初めての減少となった。

2年後の失業率見通しについては5.4%とし、
5月時点の予想5.9%から大幅に引き下げた。

経済成長率とインフレ率の見通しに
ついてはほとんど変更はなかった。

カーニー総裁は記者会見で、失業率低下の
スピードを勘案すると、インフレなき成長への
余地は中銀が予想していた以上に縮まっている
と考えられるが、その一方で、余剰生産能力は
縮小の兆候が見られると指摘。

「理由が何であれ、こうした動きは、
さらなるインフレ圧力を生み出すことなく
経済が一段と高水準の雇用と低水準の
失業率を保つことが可能であることを
示唆している」と述べた。

英中銀は今回のインフレ報告で、将来の
利上げは段階的に行い、金利水準は金融危機前を
大幅に下回る、との見方を改めて示した。

市場では、年内の利上げ観測が後退、ポンドが
対ドルで10週間ぶりの安値をつけたほか、
英国債価格が当初の下げから値を戻した。

英中銀は、余剰生産能力は国内総生産
GDP)の1%程度、との見方を示した。

2月と5月には、同1.25%程度と推定していた。

英中銀は、利上げの前に、経済における
緩みが概ね解消されることを望んでいる。

中銀は今回、緩みをめぐる不透明感が増しており、
金融政策委員会でも緩みに関する見解が分かれている、
と指摘している。

GDP伸び率については、今年は3.5%の
見通しとし、5月予想の3.4%を上方修正した。

2年後のインフレ率は1.8%とした。