ユーロ圏の成長支援する財政策に格付会社は慎重、懸念はフランス

主要格付け会社は、欧州中央銀行(ECB)の
ドラギ総裁による減税と成長を支援する財政政策を
求めた発言に対し、慎重な評価を示したほか、
フランスの格付けが最大の懸念との見方を示した。

S&Pのクレーマー欧州ソブリン格付け代表は、
「ユーロ圏全体での一般政府債務が国内総生産
GDP)比で100%近くになっており、各国が
最も必要とする一連の成長促進策は、財政の
柔軟性が少ない傾向がある」と述べた。

ムーディーズやフィッチも、ほぼ同様の意見だ。

ムーディーズのシニアアナリスト、
ディトマー・ホーナング氏は、低水準の成長と
インフレはユーロ圏の一部諸国の信用度にとり
「大きな課題だ。当該国の債務がGDP比で
120%を超え、引き続き上昇するようなら、
財政余地は限定的になる」と述べた。

特にフランスが懸念され、次いで
イタリアも懸念されている。

フィッチのソブリン格付け代表、
ジェームズ・マコーミック氏は「フランスの債務は来年、
GDP比で96〜97%でピークをつけるとみられ、
AAプラス格の比率ではレンジの上限にあることを
既に指摘した」と指摘。

その上で「成長を支援するような歳出とならず、
債務動向が一段と悪化し、GDP比でのピークに
達するのが後ずれしたり一段と上昇するようなら、
懸念となる」と述べた。

ムーディーズも「フランスの債務とGDP比は
何年にもわたり上昇しており、財政健全化目標は
今も改定されている。これは信用度にとって
良いものではない」との見解を示した。