ECBが買い入れ詳細公表、政策金利据え置き

欧州中央銀行(ECB)は2日、主要政策金利
据え置くとともに、資産担保証券(ABS)及び
カバードボンドの買い入れの詳細を明らかにした。

中小企業向け融資を促進し、
ユーロ圏の景気押し上げを狙う。

買い入れは、カバードボンドが10月中旬、
ABSが10〜12月期中に開始。

ギリシャキプロスなど格付けが「BBBマイナス」
以下の国々も買い入れ対象とし、少なくとも2年間継続する。

ファイナンス金利は0.05%に、上限金利
限界貸出金は0.30%に、下限金利の中銀預金金利
マイナス0.20%にそれぞれ据え置かれた。

ドラギECB総裁は理事会後の記者会見で「われわれが
講じるすべての措置が経済に効果を発揮すれば、
インフレも目標水準に近づいていくだろう」と語った。

ECBがこれまでに決定した一連の措置については、
バランスシートを2012年初頭の水準程度まで
拡大させることで、市場への資金供給を増やすことが
狙いとした。

ECBが買い入れに関心を持つこうした
債券の総額は最大1兆ユーロに上ると指摘。

ただ、実際の買い入れ額はこの水準に
達しない可能性があるとした。

ECBは正式な国際金融プログラムの監視下に
あることを条件に、投資不適格級のギリシャ
キプロスなどの国の債券も幅広く買い入れ対象に
含める。

ドラギ総裁は「できる限り包括的に行うが、
慎重に実施する」と述べ、条件付きとなることを
強調した。

ドラギ総裁は、必要なら追加措置をとる方針で
理事会は一致していると強調、量的緩和QE)の
可能性に繰り返し含みを残した。

ただ、QEをめぐってはバイトマン独連銀総裁ら
内部からの反対が根強く、ECBが実際にQE
踏み切るのは困難ともみられている。

実際、ドラギ総裁はこの日、早期の国債買い入れ
などについてまったく言及しなかった。

これを受け、ユーロは対ドルで上昇、
ユーロ圏国債利回りは上昇した。

ドイツではバイトマン連銀総裁がこれまでも
ABS買い入れに疑問を表明するなど、ECBの
買い入れに対する根強い反論がある。

こうした見方を反映し、独IFO経済研究所の
シン所長は「ECBはついに救済機関、
欧州バッドバンクと化した」と述べ、
ECBの新たな買い入れ策に批判的な立場を
示した。

ドラギ総裁はユーロ圏各国政府に対し、
一部のリスクの高いABSに保証をつけるなどして
ECBの買い入れ策の支援をするよう要請。

ただ、独仏両国はこうした措置にも反対している。