景気判断8地域据え置き、急激な為替変動に警戒=日銀支店長会議

日銀は20日、四半期に一度の支店長会議を開き、
地域経済報告(さくらリポート)」を公表、
全9地域中8地域の景気判断を前回7月と
同様に据え置いた。

いくつかの地域で生産や住宅投資の判断を
下げたものの、所得環境の改善などを重視した。

夏場の天候不順や実質賃金の目減りの
影響は限定的とみている。

もっとも会見した支店長らからは最近の
急激な為替変動を警戒する声も紹介された。

会議の冒頭で黒田東彦総裁は、消費税率引き上げに
伴う駆け込み需要の反動などの影響で「生産面を
中心に弱めの動き」がみられるが「基調的には
緩やかな回復を続けている」との従来判断を
繰り返した。

9地域中東北のみは生産と公共投資の下振れを理由に、
前回は基調的に緩やかに「回復を続けている」としていた
判断を、「回復している」に弱めた。

個別地域の景気判断引き下げは
1年9カ月ぶりという。

項目別の判断は、公共投資
3地域引き下げ、2地域で引き上げた。

設備投資は1地域引き上げ、住宅投資は
5地域引き下げ、所得は4地域引き上げた。

雇用については全9地域で据え置いた。

日銀が景気判断上極めて重視してきた生産については
4地域(東北、関東甲信越、中国、四国)で引き下げ、
1地域(北陸)で引き上げた。

自動車や電機・情報通信・金属で
消費増税の駆け込み需要の反動が響いている。

一方、電子部品・デバイスは増加した。

目を引くのは個人消費についての判断。

8地域で「緩やかに持ち直している」と前回判断を
据え置いており、北海道に至っては判断を引き上げている。

夏場の天候不順について、東北や北陸、東海、近畿、
九州などでスーパー・コンビニ売上や家電量販の
売上などへの影響が報告されたが、全体の判断に
影響は少ないとみている。

消費増税と物価上昇による実質賃金の目減りの
影響については「報告はなかった」(日銀)という。

会見した梅森徹・名古屋支店長は実質賃金が前年比で
減少しても、夏季賞与の増額が消費を下支えしている
と説明した。

北海道や近畿など一部では外国人観光客向け
免税販売が大幅に増加しており、消費の
下支え要因として期待されており、日銀では
観光の地域経済について2年ぶりに調査をまとめた。

9月以降の急激な円安など最近の為替動向について、
会見した宮野谷篤・大阪支店長(理事)は
「プラス・マイナス両面ある」とし「急激な
為替変動を避けて欲しいとの声が多いのは事実」だが、
「円安はトータルするとマイナスよりプラスが大きい」
とまとめた。

梅森・名古屋支店長は「業種や個社で影響は
それぞれ違うが、多くの企業は急激な変動は
できれば生じて欲しくない」、あまりに急激・
大幅なため「現時点でトータルな東海経済への
影響を判断するのは時期尚早」と指摘した。

曽我野秀彦・札幌支店長も「為替はいつでも円高
円安方向に裏返しになり得る」と警戒感を示した。