欧州の銀行ストレステストは25行不合格、大半が資本不足解消

欧州中央銀行(ECB)は26日、ユーロ圏の
民間銀行130行に対する資産査定とストレステスト
(健全性審査)の結果を発表、25行が2013年末の
時点で不合格となったものの、その後大半の銀行が
資本増強に動いた。

指摘された資本不足は総額250億ユーロだったが、
12行が今年に入り150億ユーロの増資を実施。

残り100億ユーロとなっている。

イタリアは9行が不合格となり、モンテ・デイ・
パスキ(モンテ・パスキ)は25行中最大の
21億ユーロの資本不足と指摘された。

同行は今年に入り資本増強を進めている。

このほか不合格となったのはギリシャで3行、
キプロスで3行、ベルギーとスロベニアで2行、
フランス、ドイツ、オーストリアアイルランド
ポルトガルで各1行。

ECBのコンスタンシオ副総裁はこれについて、
銀行の融資を促進する可能性があると指摘。

「(需要が)幾分上向いているが、まだわずかだ」
とした上で、「これにより環境が変わり始め、
現状も変わることを望む」と述べた。

ECBのストレステストでは、今後3年間に
経済が予想通り拡大した場合、リスク加重資産に
対する自己資本比率が8%以上、リセッション
(景気後退)に陥った場合、同5.5%以上を
満たすことが合格の基準だった。

資本不足が指摘された銀行は2週間以内に
資本増強計画を示す必要があり、その後
9カ月の実施期間が与えられる。

欧州銀行監督機構(EBA)は123行の
ストレステストを実施し24行を不合格とした。

ECBは子会社も含めて
130行への査定を実施した。

ECBはスペインの1行も不合格としたが、
EBAはECBとの基準の違いにより
かろうじて合格としていた。

多くの銀行にとってストレステストが
及ぼした最大の影響は、資本不足の指摘ではなく、
ローンなどの資産が過大評価されていると
指摘されたことだ。

ECBは、1360億ユーロの不良債権
認識されていなかったため、全体で
銀行の資産価値が実際よりも
480億ユーロ過大評価されているとしている。

過大評価は、昨年末時点での資本不足額
250億ユーロのうち110億ユーロを占め、
合格した銀行でも370億ユーロに上った。

ギリシャピレウス銀行が最も大きな影響を受け、
ECBが新たな資産評価を反映し調整した結果、
自己資本が3.7%ポイント低下した。
モンテ・パスキの資本は約3分の1低下。

オーストリアのエアステ銀行も
大きな影響を受けた。

ECBの調整により、31行の自己資本が、
投資家が安全と見なす基準である10%を下回った。

また28行がこの基準をわずか
1%ポイント上回る水準となった。

銀行は過大評価された資産について直ちに
対策を迫られることはないものの、最終的には
資本増強が必要となり、事業拡大や融資、
配当支払いの余地は縮小する。