出口戦略、15年度中心に議論するのは間違いない=黒田日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は28日の参議院財政金融委員会で、
量的・質的緩和(QQE)からの出口戦略について
現時点で公表するのは時期尚早との従来答弁を
繰り返したが、日銀が2%の物価目標に到達すると
している2015年度には議論すると明言した。

黒田総裁は、大門実紀史委員(共産)から
出口戦略について問われ、「議論している」ことは
認めつつ、「公表した後に経済・市場状況が変化すれば
不測の状況を呼ぶ可能性もある」として、対外公表は
「時期尚早」との見解を繰り返した。

米連邦準備制度理事会FRB)も、量的緩和第3弾
(QE3)からの出口については「従来は資産売却後に
利上げとしていたが、実際の順序は逆」とし、
「前に言っていたことと違いミスリード」と指摘した。

大門氏は、短期金利の利上げを先に実施した後に
資産を売却するとのFRBの出口方針を引き合いに、
日銀の出口戦略を問い質したが、黒田総裁は、
FRBも買い入れ資産の減額は「満期保有
市場売却か、明らかにしていない」として
議論を封印した。

その上で、日銀は現在2015年度を中心とする期間に
物価が目標である2%に達するとみているため、
「2015年度を中心とする時期に、出口を議論するのは
間違いない」と強調した。

大門氏同様に出口戦略について質問した
維新の藤巻建史委員に対する答弁では、
日本でも「出口政策での金利やバランスシートの
扱いは当然課題になる」と述べた。

日銀は2%の物価目標を達成する時期について、
昨年春のQQE開始時期には2015年度までの
期間の後半としていたのを、「2015年度中心」
へと後ずれさせている。

この点を質問した中西健治委員(みんな)に対して
黒田総裁は、「2年程度を念頭に、2%物価目標を
目指すことに変わりはない」と回答。

「2015年度の政策委員の物価見通しは(消費税を
除くベースで)1.9%で変わっていない」としつつ、
「足元の物価動向で、委員の物価見通しは変わりうる」
と説明、「2015年度中のどの時期に2%を達成するかは
示していない」とした。

物価については「短期的にはエネルギーなどで
左右される」とし、基調的な動きが重要と強調。

「基調的な物価をみる、もっとも重要な指標は
あくまで消費者物価指数」と述べた。

人々の物価観を示す予想インフレ率は
「かなり高いところで推移している」と指摘。

債券市場の予想インフレ率を示すBEI(ブレーク・
イーブン・インフレ率は、下落トレンドにあるが、
「このところ横ばい」とした。

荒井広幸委員(改革)は、年金積立金管理運用独立行政法人
(GPIF)の運用改革による国債売却への対応を質問。

黒田総裁は「運用方針にはコメントできない」としつつ、
「QQEで長期金利は安定的に推移している」、
「金融市場はGPIFに限らず様々な影響で
変動しており、引き続き市場動向を注視する」
と述べた。