消費増税は実施なら景気下押し、延期は構造改革の後退=全銀協会長

全国銀行協会の平野信行会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は
13日の定例会見で、仮に衆院解散・選挙となった場合、
経済を考えると重要な時期であるため、政治の空白が
生じないよう対策が必要との考えを示した。

また、安倍晋三政権が消費再増税を見送るかが
焦点となっているが、平野会長は、予定通り
行なわれた場合、景気の下押しリスクがある一方で、
延期は構造改革の後退と内外投資家から受け止められ、
両面のリスクがあると指摘した。

平野会長は、消費再増税を「見送った場合の影響は
予断をもってみることできない」とも述べた。

ただ、日銀も金融緩和を継続する姿勢を
示していることから、国債相場が「ただちに
翌日から暴落とかは考えられない」とみている。

最終的に17日に発表の7〜9月期の実質国内総生産
GDP)の数値を踏まえ、点検会合で意見を述べる
方針という。

先月末の日銀による大幅な追加緩和については、
日銀が2%という物価安定目標に対する不退転の
決意を示したと評価し、「今後も経済、金融情勢に
あわせて適時適切に対応されることを期待している」
と述べた。

ただ、円安は内需型の国内の中小企業などで
価格転嫁力が弱いなど対応しきれないこともあり、
「追加緩和の結果生じた為替変動、影響を、
注意深くみていく必要がある」とも述べた。

金融安定理事会(FSB)が10日公表した、
巨大金融機関の破綻時に損失を吸収するための
追加的な資本規制については、日本の預金保険制度の
強靭さが考慮されたなどと評価した。

FSBは、世界の巨大金融機関向けの新たな
規制強化策のなかで、「総損失吸収能力
(TLAC)」と呼ばれる新たな項目を設け、
銀行が、国際的な自己資本比率規制
バーゼルⅢ」で求められる自己資本比率8%の
確保とは別に、破綻時に損失を吸収できる債務を
追加的にリスク資産の16〜20%の規模で持つよう
求めている。

平野会長は、預保の強靭さが認められ、2.5%は
預保分が考慮されたと指摘したほか、TLACに
算入できる「適格債券」に持ち株会社が発行する
普通社債(残存期間1年以上)などが含まれることに
なったことを挙げ、「今後の対応に関する透明感が増した。
見通しがよくなった」と述べた。

新規制は、国際金融システム上、重要な銀行
(G─SIBs)に位置づけられる30行を
対象としており、日本では三菱UFJ
フィナンシャル・グループ、三井住友
フィナンシャル・グループ、みずほ
フィナンシャル・グループ の3社が含まれる。