ECB総裁が追加緩和の可能性に言及、インフレ期待「過度に低い」

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は21日、
「過度に低い」インフレを早期に押し上げるため
必要な措置を講じる必要があると述べ、
ユーロ圏経済を支援する追加緩和措置の
可能性に言及した。

総裁は今後数カ月以内にユーロ圏経済が
改善する兆しはないと指摘。

現在の措置がインフレ押し上げにつながらなかった場合、
流動性供給プログラムを強化する方針を示した。

総裁は銀行業界の会議で「われわれは引き続き、
責務を果たしていく。物価の安定維持という
責務に従ってインフレとインフレ期待を可能な限り
早期に押し上げるため必要な措置を講じる」と述べた。

さらに「われわれの政策がこれを達成するのに
十分効果的でなかったり、インフレ見通しに
さらなるリスクが生じた場合はそれに応じて
措置を強化し、資産買い入れの規模やペース、
構成を変えることで介入手段を拡大する」と語った。

総裁はまた、ユーロ圏経済の厳しい状況について警告。

短期的なインフレ期待は低過ぎると
見なされる水準まで低下していると指摘した。

ドラギ総裁は17日、追加緩和には大規模な
国債購入が含まれる可能性があると述べていた。

21日の総裁の発言を受け、イタリア10債、
アイルランド10年債、オーストリア10年債利回りが
過去最低水準に低下。

ユーロ/ドルは1.24ドルに向けて下落した。

欧州株は上昇している。

この日のドラギ総裁の発言について、ECBが
国債買い入れ型の量的緩和QE)実施に
一歩近づいたことを示していると
受け止める向きも多く、イタリアの
パドアン経済・財務相はユーロ圏の
経済成長を押し上げるためのECBの措置を
歓迎するとのコメントを発表した。

ただ、同じ講演会場でドラギ総裁の直後に
講演した独連銀のバイトマン総裁は、ECBの
追加措置については一切触れなかった。

両氏はECBの将来的な措置について
対立が指摘されている。

ECBはこの日、景気支援策の一環として、
カバードボンドに続き、資産担保証券(ABS)の
買い入れを開始したと発表。

ただ、世界的な経済成長の主なけん引役の
中国経済の先行きが不透明となるなか、
ECBの一連の景気刺激策がどの程度効果が
あるのかは不明だ。