中国人民銀が予想外の利下げ、景気てこ入れへ

中国人民銀行中央銀行)は21日、
予想外の利下げを発表した。

景気減速兆候が強まる中、
てこ入れで経済を支援する。

主要政策金利の引き下げは約2年ぶり。

借り入れコストを押し下げ、
減速する経済を支援する。

1年物貸出金利は40ベーシスポイント(bp)引き下げ、
5.6%、1年物預金金利は25bp引き下げ、2.75%とし、
22日から実施する。

人民銀は、「資金調達の難しさ、高水準な
資金調達コストは引き続き実体経済における
問題として際立っている」と指摘。

また、金利の自由化を進めるとして、預金金利
上限を基準金利の1.1倍から1.2倍に引き上げる
方針を示し、預金者に配慮した。

リーマン・ショック後の2008〜2010年にかけ、
中国政府が景気刺激策を打ち出すなか、各企業とも
多額の借り入れを行ったが、昨今の景気減速の
あおりで、多くの企業が債務の返済に腐心しており、
今回の利下げはそうした企業の救いの手になると
みられている。

中国の利下げを受け、株価は世界的に値上がりし、
商品(コモディティー)市況も堅調となった。

最近の経済指標によると、10月の銀行貸し出しは
落ち込み、マネーサプライの伸びも鈍化、景気減速の
深刻化に対する懸念が高まっていた。

これを受け市場では、利下げを含めさらなる
景気刺激措置を求める声が広がっていた。

ただエコノミストの間では、財政支出などの措置が
優先され、利下げは当面見送りとの見方が多かった。

今年一連の小規模対策は打ち出されたものの、
中国指導部は、労働市場底堅い状態を
維持するのならば、経済成長率が目標を
若干下回ることは容認するとの考えを
繰り返し表明している。

習近平国家主席は数週間前のアジア太平洋経済協力会議
APEC)・CEOサミットで、中国経済が直面するリスクは
「それほどの脅威ではない」と強調し、政府は危機を
回避できると確信していると述べていた。

習主席はまた、経済成長率が7%になっても、
世界の中では引き続き先頭を走ることになるとした。

不動産市場の冷え込みや不安定な輸出需要、
国内投資の伸び鈍化を背景に、今年の経済成長率は
7.4%と、24年ぶりの低水準になると見込まれている。