バブルリスク、インフレ押し上げの取り組み阻害せず=ドラギECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は27日、
不動産や社債市場におけるバブル形成リスクは、
インフレ押し上げに向けたECBの取り組みを
阻害することはないと言明した。

ドラギ総裁はヘルシンキでの講演で「物価安定に
配慮した金融政策スタンスによって正当化されない
状況において、特定の不動産や社債市場における
バブル形成の兆候が、(現在とは)異なる、利上げを
伴うような金融政策を正当化するに十分だろうか。
答えは『ノー』だ」と語った。

ECBは同日公表の金融安定報告書で、利回りの追求や
投資家のリスクに無頓着な姿勢が金融安定を危険に
さらす可能性があると警告。

「金融資産のリターンが低い期間に投資家が
利回りを追求し、気を緩めることによって
金融安定へのリスクが高まる可能性がある。
このような時期にはシステミックリスクが
生じるかもしれない」と指摘した。

コンスタンシオ副総裁は、そうした投資家の
行動に伴う潜在的なリスクへの対処には
「別の手段が必要」とした。

また、住宅及び商業用不動産市場は「泡立った」
状況にあり、調整局面に陥りやすい状態と指摘した。

さらに、通常の社債や株式が過大評価されている
兆候は確認していないとしつつも、高利回り債などの
一部の債券は過大評価されているようにみえると述べた。

また同総裁は、構造改革を実行できなければ、
ユーロ圏諸国は永遠に経済統合できない
可能性があるとの見解を示した。

域内各国が助け合う仕組みの創設も唱えた。

総裁は大学での講演で「各国の団結が
ほころぶことになり、ユーロ圏各国に
悪影響を与える可能性がある」と指摘。

また「ショックのコストを分担する別の形の
カニズムに、各国は一段と投資する必要がある。
国境を越えたリスク分担は、景気後退を
阻止するためにも必要だ」と述べた。

総裁は各国の債務を支える仕組みの創設を提案、
新たな債務を共同で保証することに言及した
ものとみられる。

債務の共同保証をめぐってはドイツが猛反発、
域内他国が際限なく借り入れを行い、困難な
立場に置かれるとの懸念の声がドイツ政界で
上がっている。