米FOMC「相当な期間」の文言修正、利上げへ強いシグナル

米連邦準備理事会(FRB)は16〜17日に開催した
連邦公開市場委員会FOMC)後に発表した声明で、
事実上のゼロ金利を「相当な期間」維持するとしていた
文言を修正し、利上げ決定には「辛抱強い」アプローチが
必要との表現を採用した。

来年の利上げに向けた
強いシグナルを送った。

イエレンFRB議長は会見で「辛抱強い」との
文言について「少なくとも2会合」で利上げする
可能性が低いことを意味する、と説明した。

つまり、利上げプロセスの開始は、最も
早い場合で2015年4月ということになる。

議長は声明について「少なくとも次の2会合で、
正常化プロセスを開始する可能性は低いと解釈すべき」
と述べた上で「ただ(正常化の)時期はあらかじめ
決まっているわけではない」との認識を示した。

RBは声明で、現在の評価に基づき、
金融政策スタンスの正常化開始に向け
「辛抱強く」あることができると表明。

その上で、このガイダンスについて、事実上の
ゼロ金利を「相当な期間」維持することが
適切とした前回の声明と合致すると説明した。

米経済情勢については「経済活動は緩やかな
ペースで拡大している」と評価。

さらに労働市場についても、最近の堅調な雇用統計を
引き合いに「労働資源の活用不足は、引き続き
消えつつある」との認識を示した。
米株式と債券利回りは上昇。

ドルは主要通貨に対して上昇した。

イエレン議長は記者団に対して、エネルギー価格が
大幅に下落するなかでも、インフレ率が最終的には上昇し、
目標の2%に近づくと確信していると表明した。

「利上げ開始までには、失業率の一段の低下と、
労働市場のさらなる改善が見られるだろう」とし、
経済指標が堅調さを維持するなど一定の条件が整えば、
利上げに動くことを示唆した。

FRBは、ユーロ圏や日本、ロシアにおける
経済問題については語らず、米経済の見通しに
ついて概ね楽観的な認識を示している。

FRBFOMC声明に併せ
最新の経済見通しを発表。

2015年の米経済成長率見通しは2.6〜3.0%に
なるとし、前回9月に示した見通しを据え置いた。

失業率については、2015年末に向け
平均5.2〜5.3%に低下していくと予想。

前回見通しから若干改善した。

ただインフレ率は
1.0〜1.6%に鈍化すると予想。

原油価格の下落を反映した
ものと見られる。

エネルギーや食品を除くコアインフレ率は若干低下し、
FRBの目標が達成されるのは2016年末になる
との見方を示した。

成長や雇用に総じて楽観的な見方を示す一方、
インフレ率が低調な現状を踏まえ、利上げペースが
緩やかなものになることを示唆した。

適正なフェデラルファンド(FF)金利見通しの
中央値は、2015年末時点で1.125%。

前回9月の見通しから0.25%ポイントの
引き下げとなった。

2016年と2017年の予想金利水準も引き下げた。

FOMC声明では、世界経済について、原油価格下落や
ロシア通貨のルーブルの急落などをめぐる言及は
なかった。

ルーブル下落などロシア経済の混乱が米国に波及する
可能性があるか、との質問に対して、イエレン議長は、
両国の関連性は小さいためさほどの影響はないと断言。

「影響の波及は非常に小さなものになると予想している。
ただ当然、われわれは状況を注視している」と述べた。

今回のFOMCの声明の採決では、
賛成が7人、反対が3人となった。

フィッシャー・ダラス地区連銀総裁、コチャラコタ
ミネアポリス地区連銀総裁、プロッサー・
フィラデルフィア地区連銀総裁らが反対票を投じた。

タカ派ハト派の双方から反対が出たことになる。