欧州とドル高見通し、米国にリスク=バーナンキ前FRB議長

バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長は12日、
欧州経済の弱さが大きな懸念材料として浮上している
と指摘。

ドル高見通しも米輸出企業にとって
リスクになるとの見解を示した。

小売業界幹部の年次会議で講演した。

バーナンキ氏は、労働市場や製造業、消費者信頼感の
改善を背景に米経済は金融危機以降、最も力強く
回復しているとみられると述べた。

その上で、欧州の景気悪化リスクがあると指摘。

この問題自体が米経済の回復を
妨げるとは考えていないとしながらも
懸念を表明。

小売業界のロビー団体、全米小売業協会(NRF)の
取締役会会長、スティーブン・サドーブ氏からの
質問に対し、「私が最も懸念している市場は欧州、
ユーロ圏だ。これらの国は景気回復を支援するのに
必要な措置を取れていない」と述べた。

バーナンキ氏は「政治的・法的な抵抗」が、
欧州の中央銀行による一段と積極的な金融政策を
妨げているとし、欧州のインフレは2%前後という
目標に対し、約0.5%にとどまっていると指摘。

「現在、欧州の状況は非常に弱く、デフレ圏に
かなり近い。これがわれわれにとって最大の
貿易パートナーの現状だ」と述べた。

また、米経済が回復するなか、欧州の金融政策は
長期間にわたって緩和的にとどまる見通しで、
日本も積極的な金融緩和を実施していると指摘。

これを踏まえると「ドル相場の
かなりの上昇が見込まれる」と語った。

ただ、こうした状況を受けたドルの上昇は
「すでに起きており、必ずしもこれまでのような
上昇ペースが続くとは限らない」と付け加えた。

その上で、ドルが上昇すれば、米輸出業者や
海外に子会社を持つ米企業はドル高に
対処しなければならなくなり、米国にとって
ややリスクとなるとの見方を示した。