カナダ中銀が利下げ、原油安の影響懸念

カナダ銀行中央銀行)は21日、
政策金利を1.0%から0.75%に引き下げた。

政策金利の変更は2010年9月以来。

原油価格の急落に伴い、成長率とインフレ率目標の
達成が脅かされているとして、必要であれば
追加緩和をする準備があることも示した。

ポロズ総裁は、「原油価格ショック」に伴って
カナダにのしかかるリスクへの「備え」として
利下げに踏み切ったと表明。

原油価格急落で失業率が上昇して所得が減り、
家計の債務に悪影響が及ぶとの見方を示した。

同総裁は記者団に対し、「世界が急速に変化している
との認識が必要。再び状況が変われば一段の備えを講じ、
逆の流れになれば、これまでの措置を巻き戻すことが
できる」と指摘した。

中銀は四半期ごとの金融政策報告書で「原油価格見通しの
著しい低下は、2015年、またその後数年のカナダ経済に
とり明らかにネガティブ」との見方を示した。

利下げはトロントなどを中心に過熱気味の
住宅市場をさらに悪化させる危うさも含む。

だがそれでも利下げに踏み切ったことは、原油価格の
急落が住宅市場の崩壊を招くリスクを中銀が
より懸念していると解釈できそうだ。

「住宅セクターのソフトランディング(軟着陸)が
引き続き最も可能性の高いシナリオ」としながらも、
家計の不均衡の「無秩序な反転」が起これば、経済や
インフレに多大な悪影響を及ぼす恐れがあるとした。

成長、インフレ見通しの下方修正は予想されていたが、
次の政策変更は今年第4・四半期または来年初めの
利上げと見込まれていた。

経済見通しに関しては、2015年上期の成長率を
昨年10月時点予想の2.4%から1.5%に下方修正。

原油安による影響は
0.75パーセントポイントと見積もった。

2015年通年は2.4%から2.1%に引き下げた。

カナダ経済が最大限の能力に達する時期についても、
2016年下期から2016年末に後ずれすると見込む。

総合インフレ率に関しては、原油安を背景に、
2015年の大半において目標レンジの1〜3%を
下回って推移するとし、第2・四半期には
0.3%まで低下すると予想した。

ただコアインフレ率は今年、2%近くで
引き続き安定する見通しとした。

過剰供給や小売り業界の競争激化による
下押し圧力が緩やかになり、カナダドル安による
押し上げ圧力も和らぐ見通しとした。