米ドル高懸念、対象は主に欧州=渡辺JBIC総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史総裁(元財務官)は
12日記者団との懇談で、米国のドル高懸念は主として
ユーロ安による米欧貿易への影響に関するもので、
円安に対して大きな批判はないと語った。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革が
「為替操作」との批判も米国の主流意見ではない
と説明した。

渡辺総裁は、ルー米財務長官が「強いドルは
米国の国益」とあまり語らなくなった点を踏まえ、
「強すぎるドルが米国の課題」と指摘。

欧州と米国は経済構造が似ており、為替が
影響しやすいとして、米議会などでの
ドル高懸念は欧州中央銀行(ECB)の
量的緩和を背景としたユーロ安を対象とした
ものとの見解を示した。

ピーターソン国際経済研究所のバーグステン所長が
GPIF改革による米株・米債券買いについて
為替操作だと批判しているが、「主流の意見ではない」
と指摘した。

もっとも「年金のようなものを政治の短期的な政策で
使うべきでないとの指摘はそれなりに正しい」との所見も
述べた。

ドル/円が120円を突破しているが、「米利上げは
ある程度織り込まれている」、「120円手前が色々な
意味で平穏な水準」とし、さらに大幅な円安が進む
可能性は少ないとの見方を示した。

同じ財務官出身の先輩であり3月末で就任2年を
迎える黒田東彦日銀総裁については、「量的・
質的緩和(QQE)でセンチメントを変えた点は
評価すべき」と述べた。

昨年10月の追加緩和が市場の多くの予想に
反していたことから、市場との対話をめぐり批判が
出ている点に触れ、「昔は公定歩合と解散は当日朝まで
嘘をついてよいと言われた」と指摘。

市場が政策運営に過度の
透明性を求めている点を批判した。

渡辺総裁は、黒田日銀が「すでにかなり
政策手段を使っている」とし、ここから
先の政策運営は「日銀事務方の腕の見せ所」
と語った。