原油次第で物価ゼロ近辺に低下、基調が重要=2月日銀議事要旨

日銀が20日に公表した2月17〜18日の
金融政策決定会合の議事要旨によると、
何人かの委員が、消費者物価(除く生鮮食品、
コアCPI)の前年比上昇率の動向について、
原油価格の下落を受けてゼロ%近辺に低下する
可能性があると指摘した。

ただ、政策委員は金融政策判断では「物価の基調」が
重要とし、様々な物価指標を総合的に評価していく
必要性を主張している。

日銀は3月16〜17日の金融政策決定会合で、
コアCPIの先行きについて「当面ゼロ%程度で
推移するとみられる」に判断を下方修正。

その後の会見で黒田東彦総裁は「エネルギー価格の
動向次第で、若干のマイナスとなる可能性を排除できない」
と一時的にマイナスに転落する可能性に言及した。

2月の会合では、原油価格下落の影響で鈍化を続ける
コアCPIの動向と2%の物価安定目標の実現に向けた
足取りについて議論が展開された。

政策委員は、金融政策を運営するための物価判断について
「物価安定目標は安定的に達成すべきものであり、
金融政策運営にあたっては物価の基調的な動きが
重要」との認識を共有。

「物価の基調」の判断に際して何人かの委員は、
様々な物価指標の点検とともに、需給ギャップ
中長期的な予想物価上昇率、その背後にある経済の
動きなど「総合的に評価していく」と述べている。

その上で多くの委員が、原油価格が現状程度の
水準から緩やかに上昇していく前提で、原油安の
影響はく落に伴ってコアCPIの前年比は伸び率を
高めていくとし、「2015年度を中心とする期間に
2%に達する可能性が高い」と主張。

これらの委員は、原油価格の動向次第では、
物価2%の到達する時期が「多少前後する
可能性がある」とも指摘した。

物価目標の実現可能性について1人の委員は、
日本経済のファンダメンタルズが改善し、
賃金・物価を循環的に押し上げる力も
高まっているとし、「2%の目標は十分に
実現可能」と表明。

一方、別の1人の委員は原油安の影響を除いても
物価上昇は緩やかと述べ、「短期間のうちに
消費者物価の前年比が安定的に2%に
達するのは相当難しい」と指摘した。

また、足元の国債市場で長期金利
上昇するなどボラティリティ(予想変動率)の
高まりが観察されていることについて、複数の
委員が「金利低下方向へのやや行き過ぎていた
見方の調整」と述べるとともに、「市場参加者の
リスク許容度の低下や、市場機能の低下を
映じている可能性がある」との見解を示した。

もっとも、日銀が量的・質的金融緩和(QQE)で
大規模な国債買い入れを継続する中、ある委員は
QQEの効果は累積的に強まり、「イールド
カーブ全体のアンカーになる」と説明。

複数の委員は「国債買い入れを継続することは
技術的には当分可能であるとみているが、先行きに
おける持続可能性についても留意しておくことが
必要」と述べている。

同日の会合後に公表された声明では、輸出と
生産の判断を上方修正する一方、個人消費
改善の動きに一部で鈍さがみられる、ことを
指摘した。

輸出について何人かの委員は「米国向けの
資本財輸出やアジア向けの情報関連財輸出が、
持ち直しをけん引している」と表明。

この点についてある委員は「輸出の持ち直しが
米国の需要に依存していることもあり、
その持続性には不確実性がある」としている。

何人かの委員は、「円安を背景とした国内生産回帰が
輸出と生産を押し上げている部分がある」と述べている。