ECBと英中銀、ユーロ建て証券の決済めぐる対立に終止符
欧州中央銀行(ECB)と英イングランド銀行
(中央銀行、BOE)は29日、ユーロ建て証券の
決済を行う英国の中央清算機関(クリアリング
ハウス)に対する財政支援策を強化することで
合意に達した。
長年続いた両者間の
法廷闘争に終止符が打たれる。
ECBは合意を受けて、ユーロ建て証券を扱う
清算機関がユーロ圏に拠点を置かねばならない
とする政策導入の見送りを余儀なくされる。
英国は、この政策がロンドンの金融センターとしての
地位を損ない、欧州連合(EU)の単一市場を分断化する
恐れがあるとして、欧州司法裁判所に提訴していた。
欧州司法裁は今月初旬、ECBに不利な判決を下した。
ECBはロンドンの清算機関に不具合が発生した場合、
ECBには直接的な支援やユーロ建ての資金供給を
行う権限がないことに懸念を示していた。
ECBとBOEはこの日の共同声明で、ECBが
BOEにユーロを供給できる取り決めを
延長することで合意したと発表した。
ただ、ブリュッセルに本拠を置くシンクタンク、
ブリューゲルのEU金融サービス専門家である
ニコラス・ベロン氏は、国境を越えた清算機関の
事業とリスクの拡大にどう対応するかという
根本的な問題は、今回の合意によって必ずしも
解決したわけではないとみている。