日米財務相会談、経済見通しを議論=AIIBは「公正な運営を」

麻生太郎財務相は16日、日米財務相会談では世界経済、
日米経済の見通し、中国が主導するアジアインフラ投資銀行
(AIIB)について議論したことを明らかにした。

20カ国・地域(G20財務相中央銀行総裁会議
初日の会合後、記者団に述べた。

ルー米財務長官との会談について麻生財務相
「AIIBについて公正なガバナンスの確保、債務の
持続可能性の確保、環境・社会への影響への配慮など
国際的に確立されたスタンダードに基づくことが
重要ということで一致した」とコメント。

また「スタンダードを高めるために、ひとつの方法として
世銀やADB(アジア開発銀行)などの高いスタンダードを
備えた既存の金融機関との協調融資も効果的だという話も
した」と述べた。

G20での初日の会合では、AIIBに
関する議論はなかったという。

麻生財務相は、日米財務相会談で、春闘における
賃上げの状況を含め、日本経済は好循環になっていると
説明したことを明らかにし、「景気が良くなっていることは
はっきりしているので、ルー長官から(批判的な)コメントが
特に出たという記憶はない」と語った。

日米財務相会談後に米財務省高官が明らかにした
ところによると、ルー財務長官は、「国内の政策ツールは
国内目的のために使用し、為替レートをターゲットと
しない」という部分などG20の為替に関する
コミットメントを順守することの重要性を
強調したという。

この点ついて問われた麻生財務相は「通貨安競争を
回避するとのG20声明順守について日米財務相会合で
話した」と答えた。

国際通貨基金IMF)の特別引き出し権(SDR)
構成通貨については、「国際取引で使用されている
代表的な通貨であるべき、といった原則に立脚して
議論を進める必要がある」との日本の立場を
説明したという。

SDR構成通貨に中国の人民元を採用することを
めぐっては、「IMFがこれからやっていくことなので
特にコメントしない」とした上で、中国が資本規制改革を
着実に実行し、人民元が広範に使用されたり取引されることが
大事だとの見解を示した。

麻生財務相は、この日のG20会合では世界経済について
議論し、「私からは日本経済について、昨年第4・四半期に
1.5%のプラス成長となり、足元でも緩やかな回復基調が
続いていると説明した」と述べた。

また「労働市場や企業部門で前向きな動きが見られ、
春闘の結果、賃金の引き上げ率が2.33%と、過去15年間で
最高となった昨年の水準をさらに上回る水準となったこと、
企業の経常利益が過去最高水準となり、企業の資金が
投資にも回り始めていること、低水準の原油価格も
家計・企業の購買力の増加につながり、企業にとって
プラス要因であることを紹介した」と明らかにした。

さらに「政策対応としては日本の今年度予算が
先週成立しており、今後とも経済再生と財政健全化の
両立を目指す取り組みを着実に進めることを説明した。
具体的には、財政健全化については2020年度までに
プライマリーバランス基礎的財政収支)黒字化を
目指すという目標を堅持し、夏までにその達成に
向けた具体的な計画を作成すること、アベノミクス
第三の矢についても着実に取り組んでおり、電力市場・
労働市場改革のいわゆる国家戦略特区に関連する
20本の法案を今国会に提出し、女性や外国人労働の
参加を促す取り組みを進めていることも紹介した」
と語った。