物価見通し下方修正、2%達成2016年度前半頃に先送り=日銀

日銀は30日、日本経済の2017年度までの見通しを示す
「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表、
2016年度までの従来の物価見通しを下方修正した。

2%の物価目標達成時期も
2016年度前半ごろに先送りした。

消費者物価(除く生鮮食品、消費税引き上げの影響を除く)
の見通しは、2014年上昇幅が1月時点の0.9%から0.8%に
下方修正された。

2015年度も1.0%から0.8%に、2016年度も2.2%から
2.0%にそれぞれ0.2ポイント下方修正された。

新たに公表された2017年度は1.9%の上昇。

原油価格は1バレル55ドルを出発点に、見通し期間の
終盤にかけて70ドル台前半に緩やかに上昇していくと
想定している。

消費者物価は「当面0%程度で推移するとみられるが、
物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が
剥落するに伴って、物価安定の目標である2%に向けて
上昇率を高めていく」との見方を示したものの、
その達成時期は「2016年度前半頃ごろ」とした。

昨年10月の展望リポートでは「2015年度を中心とする
期間」としていたが、これを先送りした。

さらに、物価のリスクとして「物価の中心的な
見通しについては、中長期的な予想物価上昇率
動向などをめぐって不確実性は大きく、下振れ
リスクが大きい」と指摘した。

成長率の見通しは、2014年度が1月のマイナス0.5%から
マイナス0.9%に下方修正、2015年度は2.0%成長、
2016年度は1.5%成長に、それぞれ0.1ポイントずつ
下方修正されたが、潜在成長率を上回る成長を見込む。

2017年度は消費税率10%への引き上げを
前提に、0.2%成長に鈍化する見通し。

物価動向の背景となる要因については、労働や設備の
稼働状況を表すマクロ的な需給バランスが着実に
改善傾向にあることを指摘。

中長期的な予想物価上昇率については、やや長い目で
みれば全体として上昇しているとみられることを挙げた。

輸入物価については、これまでの為替相場の動きが、
輸入物価を通じた消費者物価の押し上げ要因として
作用していく一方、原油価格をはじめとする
国際商品市況の下落は、当面物価の下押し圧力と
なるとした。

またリスクとして、1)エネルギー価格下落の影響から
現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、
予想物価上昇率の上昇ペースに影響する、2)消費者の
物価上昇に対する抵抗感が強い場合や企業の賃上げに
対する姿勢が慎重な場合、販売価格や賃金の引き上げが
スムーズに進まない可能性がある、点を挙げた。

金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は
所期の効果を発揮しているとの見解を踏襲。

今後とも2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、
これを安定的に持続するために必要な時点まで
「量的・質的金融緩和」を継続する、とした。

その際、経済・物価情勢について上下双方向の
リスク要因を点検し、必要な調整を行うとした。