日銀議事要旨、価格改定「広がっている」、実質金利効果が逓減

日銀が24日に公表した5月21、22日の
金融政策決定会合の議事要旨によると、
4月以降の物価動向について、何人かの
委員が日用品や食料品などで価格改定の
動きが「広がっている」との認識を示した。

また、何人かの委員は、実質金利の低下による
政策効果が逓減している可能性を指摘した。

会合では、金融政策を運営する上での物価判断について、
需給ギャップや予想物価上昇率などの「物価の基調的な
動きが重要」との認識を共有。

何人かの委員は、足元で原油安を受けて
消費者物価の前年比上昇率がゼロ%程度で
推移する中でも、「先行き物価上昇率が高まる
という予想が維持されている」との認識を示した。

その上で、4月以降の物価動向について、何人かの委員が
「速報性の高い物価関連指標をみると、日用品や
食料品などで価格改定の動きが広がっている」ことに言及。

複数の委員は「付加価値を高めつつ販売価格を
引き上げるビジネスへの転換が進んでいることの表れ」
と評価した。

先行きについても、需給ギャップの着実な改善と
予想物価上昇率の高まりによって、原油価格下落の
影響のはく落に伴って「消費者物価は伸び率を高め、
2016年度前半ごろに2%程度に達する可能性が高い」
との見方を共有。

しかし、1人の委員は今年度の所定内賃金の
上昇率がゼロ%台半ばにとどまるとみられる
ことなどから、先行きの物価が「今年度後半に
顕著に上昇するとのシナリオは描き難い」と指摘した。

また、量的・質的金融緩和(QQE)の効果に関して、
何人かの委員は日銀が重視する実質金利の低下効果に
ついて「長らく低金利が続く下で、限界的な効果は
逓減してきている可能性がある」と指摘。

「この点はデータの蓄積とともに分析を
深めていく必要がある」としている。

景気は「緩やかな回復を続けている」
との認識を共有。

日銀は同会合で個人消費の判断を引き上げたが、
政策委員の議論では消費者マインドの改善や
百貨店売上高・家電販売額の増加、1〜3月期
実質国内総生産GDP)における3四半期連続の
個人消費の増加などが挙げられ、「底堅さが
増している」と多くの委員が指摘した。

耐久財や日用品の販売が力強さを欠いている
点について複数の委員が「物価上昇に対する
抵抗感や低価格指向の消費行動が残存している」
と分析。

1人の委員は雇用・所得環境が改善を続ける中でも
非製造業は賃金が上がりにくいとし、「非製造業に
おける生産性の向上が、今後の賃金・物価上昇の
ために重要」と語った。

海外動向では、欧州の金利上昇について
議論が行われ、何人かの委員が「経済・
物価の好転を契機として、行き過ぎた
金利低下の巻き戻しが起きた」との見方を示し、
「裁定の働き方などの市場メカニズム
実体経済への影響について分析しておく
必要がある」と提起している。

また、深刻化しているギリシャの債務問題について
何人かの委員は「政府の資金繰りの状況など
ギリシャ情勢には引き続き注意が必要」
と警戒感を表明した。

米経済の1〜3月期のマイナス成長(改定値)は
「一時的な要因による可能性が高い」としたが、
複数の委員は「4〜6月期も力強い回復は
見込み難い」としている。