総務省、消費増税の影響除いたCPI試算値公表の可能性=関係者

総務省が2017年4月に予定されている
消費税率10%への引き上げ後に、消費増税
影響を除いた消費者物価指数(CPI)を
公表する可能性があることがわかった。

昨年4月の8%への引き上げ以降、政府・日銀・
市場関係者は増税の影響を除いたベースで指数の
トレンドを把握していたため、総務省としても
要望が多ければ検討が必要との見方に傾きつつある。

複数の政府関係者が明らかにした。

内閣府で25日開かれた統計委員会では、委員を
務める日銀の前田栄治・調査統計局長が、
あくまで個人の意見として、消費増税
影響を除いた指数の公表を求めた。

昨年4月の8%への消費増税以降、多くの市場参加者は、
日銀が試算した増税の影響(生鮮食品を除くコア
CPIで2%ポイント)を採用するかたちで、
物価の基調を把握してきた。

前田委員は、ユーザー側に一定のニーズがあるとして、
総務省側に税抜試算値の公表を提案した。

総務省は5年に1度見直す消費者物価指数
新基準案を7月に公表し、パブリックコメントを募り、
来年7月から新基準(2015年度基準)での
公表を始める予定。

総務省によると、税抜試算値に対する要望が
多ければ、2017年の消費税増税の際に対応を
検討する可能性がある。

また、25日の統計委員会で前田委員は、国内総生産
GDP)統計の作成などで、持ち家を借家と
みなし理論的に計算する「帰属家賃」について、
家屋の経年劣化を反映した「品質調整」を
行うよう提案した。

ただ、総務省によると、理論的・事務的に難しく、
採用するとしても、次々回の2020年度基準での
改定以降の議論になるという。

日銀による空前の超金融緩和策である量的・
質的金融緩和(QQE)にもかかわらず、
コアCPIは前年比ゼロ%程度で低迷している
最大の要因は、昨年の原油価格急落。

しかし、円安を背景に食品や日用品、外食などの
価格が上がる中で、帰属家賃のマイナスが指数を
大きく押し下げている面がある。

同委員会の出席者らによると、前田委員は
帰属家賃で品質調整を加味すれば、一定の
仮定の下で、コアCPIが0.1〜0.2ポイント
押し上げられると述べたという。