物価目標、厳密な2%目指すものではない=石田日銀審議委員

日銀の石田浩二審議委員は30日、京都市内で会見し、
現行の日銀の金融政策の枠組みは柔軟なインフレーション・
ターゲットとし、厳密な消費者物価上昇率2%を目指す
ものではないとの認識を改めて示した。

家計の現金支出と関係ない持ち家の帰属家賃などの問題で
物価が2%目標に届かないような状況の場合、さらに物価を
押し上げるような金融政策は疑問だと語った。

石田委員は午前の講演で、日銀が重視する基調的な
物価の動きをみるには「エネルギーを除いた総合指数も
みていくことが適当」と指摘。

また、持ち家の帰属家賃について「指数自体が
住宅の質の劣化を反映していないことなどによる
バイアスが存在するとの指摘もある」と語った。

このため、講演資料に総合からエネルギーを
除いたもの、さらに持ち家の帰属家賃を除いた
ものを掲載。

それぞれ5月の前年比上昇率はプラス1.2%、
プラス1.5%となっており、日銀が目安としている
生鮮食品を除いたベース(同プラス0.1%)よりも高い。

石田委員は、2つの指数を示した理由について
「基本的に物価目標は総合であり、何かを
差し引くことではない」とした上で、あくまで
エネルギー価格の変動が大きい中で物価の基調を
評価するためと説明した。

帰属家賃によって物価には下方バイアスが
かかりやすくなっており、「今のままで物価2%を
目指すためには、除く帰属家賃で2.4%に
上げなければいけない」と指摘。

家計が支払う対象物の物価が2%に達しているにも
かかわらず、帰属家賃の問題で物価が目標に
達していない場合、「まだ目標に行かないから、
どんどん一般物価を上げなければいけないような
金融政策を推し進めていくことに疑問を持っている」
と語った。

その上で、「若干、(物価が)低めに行っても、
0.2%とかそのくらいの差で2%目標の達成について、
どれほど厳密な議論をする意味があるのか」とも発言。

現行の物価目標は「2%に行く行かない、あるいは
それを超えた時でも、その時の経済・金融情勢も
見ながら運営していくということだと思う。
数字だけで見るものではない」と柔軟性を強調した。

さらに、日銀が2016年度前半頃と見通している
物価2%の到達時期についても「時期について
細かく議論するのは生産的ではない」とし、
「時期が若干ずれようが、問題はそこ(2%)に
必ず行くという確信が出てくるかだ」と語った。