ドイツ政府、フランスが提唱するユーロ圏財政移転構想をけん制

ドイツの副首相と議会幹部は1日、フランスが
呼び掛けるユーロ圏内の財政移転構想をけん制した。

フランスは欧州経済政府構想の中で、ユーロ圏が
新たに任命する監督官に域内の財政移転を統括する
権限を持たせることを提案している。

フランスのマクロン経済相は今週、ドイツ紙のインタビューで、
ユーロ圏は現状のままでは自滅の道をたどるとして、加盟国間の
財政移転が不可欠との考えを表明。

フランスが提唱する欧州経済政府構想について、
新たに任命された監督官がユーロ圏加盟19カ国の
経済、財政、社会政策の協調を図り、支出の権限を
持つ体制が望ましい、との考えを示した。

これを受け、ドイツのジグマル・ガブリエル副首相兼
経済・エネルギー相は、慎重な見方を示すとともに、
マクロン経済相に構想の具体化を求めた。

同副首相は記者団に対し、「私が強く懸念するのは、
ユーロ税あるいは付加価値税という形で一般市民から
財源を調達するという構想が次に持ち上がることだ」
と語った。

メルケル首相率いるドイツ政府は資金の乏しい
ユーロ圏加盟国への恒久的な財政移転を強く拒否している。

ドイツ与党のラルフ・ブリンクハウス院内副総務も
マクロン経済相の構想に異議を唱えた。

同氏はロイターに対し「今は欧州連合の根本的な
改革や深化を求める時期ではない」と発言。

「まず、われわれは加盟国が合意したルールを
守るという地点に至る必要がある、たとえば
財政安定化などだ」と語った。

欧州委員会は今年、加盟国の財政赤字の対国内総生産
GDP)比率の上限を3%とするEUの財政規律を
フランスが達成する期限を2017年に2年先延ばし
することで合意している。