米利上げを意識

今週の為替相場は、米国の利上げを
意識する動きが強まることが予想されます。

先週は 中国上海株の急落が、世界同時株安に繋がり、
結果としてリスク回避の円買いが持ち込まれ、
円は対ドルで一時116円台前半に急騰する動きが
見られました。

その後、上海株が値を戻し、世界の株価も安定すると、
為替市場では、リスク回避の円買いから、
年内の米国の利上げを意識するドル買いの
動きに転じました。

結果として、上海株が暴落する前の、
ドル円相場の水準に戻したことになりました。

まるで、上海株の暴落は無かったことを
確認する動きを見せたのです。

しかし、上海株の暴落は、中国の
経済に対する得難い不信感を強めました。

世界経済を牽引していると言われる、中国の
経済指標の数字は、「お化粧」していたのではないか、
そんな懐疑的な見方が改めて広がっています。

例えば、中国の経済指標は、政府が決めた
水準通りの数字が発表されることは当然の
ことでした。

間違うことのない中国政府が決めた数字が
出されて当然との見方が支配的でした。

間違わない中国政府が発表する
数字に間違いが無かったのです。

しかし、中国の世界経済に対する影響が
強まるなかで、時には、真実が垣間見られる
ことがあります。

中国政府が主張するほど、中国の経済は
磐石ではない、そんなことが表れたのが、
今回の株価急落、円急伸だったのでは
ないでしょうか。

無理して数字を作っていると分かっていても、
世界経済の拠り所は「中国」と認定している
世界の潮流が、中国経済は磐石だとしているような
感じがしています。

砂上の楼閣の中国教が続く限り、
今後も中国リスクは付きまとうと考えています。

この中、世界同時株安で、9月の利上げは
難しいと見えたものの、株価が回復したことで、
米利上げに対する安心感が広がっています。

市場は、そうした気配を感じ取って、
ドル買いを進めています。

米経済は、好調で、いつ利上げに
踏み切ってもおかしくない状況にあるのです。

FRBが注目していた雇用統計も、
政策転換する水準に回復しています。

中央銀行の「性」として、
「遅すぎる利上げ」は政策の失敗を
意味します。

これは、どこの国の
中央銀行でも変わりはありません。

今週発表される米雇用統計が予想以上の
ものとなれば、9月の利上げが実施される
可能性が強まるものと思います。

米国の利上げが世界経済に悪影響を
与えたということを避けたいものの、
中国ショックが一巡したことで、
仮に何かあっても、中国が要因と
言い切れる可能性があります。

米利上げの責任ではない、そう言い切れる
確信が持てれば、9月の利上げの確度は
高いと考えています。

問題は、中国ショックが
資源国経済に悪影響を与えていることです。

世界経済の牽引役だった中国経済が、
落ち込んでいることで、これまで資源を
買い漁っていた中国の行動に変化が
出るのではないか、そんな恐れも
出て来ているのです。

これに米利上げが重なった場合に、
国際金融市場に対する悪影響が懸念されるわけです。

足元では、米利上げを睨みつつ、ドルは
底堅い動きを見せるのではないかと思うのです。

ただ、中国ショックで一時116円台前半まで
急騰した円の動きを注意深く見たいと思います。

チャート上では、115円を超える円高水準も
視野に入ったと言えるわけで、次に為替市場が
動揺した場合には、112円程度まで意識したいと
思います。

短期的には、米利上げを睨んだドル買いを
意識していますが、125円が大きな壁になると
見ています。

予想レンジは、
ドル円が118.20〜125.20円、
ユーロ円が131.20〜137.20円、
英ポンド円が184.20〜190.20円、
ドル円が82.20〜90.20円。