米利上げ、12月がラストチャンス=渡辺JBIC総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史総裁(元財務官)は18日、
米連邦準備理事会(FRB)が今回見送った利上げについて12月が
「ラストチャンス」との見通しを示した。

欧州難民問題については日本が資金面などの
協力を求められる公算が大きいと指摘した。

渡辺総裁は17日まで開いた米連邦公開市場委員会
FOMC)での利上げ見送りについて「ダドリーNY連銀
総裁が8月に『利上げしないかもしれない』趣旨で
発言していた」と指摘。

見送りは事実上織り込まれていたとの見方を示した。

IMF国際通貨基金)や世銀による新興国
資金繰りに対する懸念を乗り越えるほど米景気は
強くない」と利上げ延期の背景を分析した。

中国発の世界的な株価の乱高下について「海外投資家は
中国株を買っていないものの、上海株が大きく下がった後に
ニューヨーク市場は上がりにくく、中国が市場心理の
指標になっている」と指摘した。

株価下落により「中国では8割5分程度の個人投資家
損失を抱えており、社会的な不安定性が出てくる可能性がる」
と指摘した。

中国の商業銀行による不良債権比率は「公式3〜5%だが、
2割程度ある可能性がある」と指摘した。

8月中旬の人民元切り下げは、財政出動が難しいなかでの
通貨安政策だったが、資本流出懸念からその後は逆介入を
再開したと解説した。

逆介入で中国の外貨準備が急減しているが、「外貨準備の
保有・運用場所が不明なため、実際の準備高は公式の
3兆ドルより少ない可能性がある」と述べた。

欧州難民問題について「日本が難民や移民の受け入れに
消極的なため、欧州が今後日本に対して少なくとも資金面などで
何らかの協力を求めてくる可能性がある」との見解を示した。