ECB、追加緩和の検討は時期尚早=ドラギ総裁

ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は23日、
欧州議会の経済金融委員会で行った証言で、
ECBが現在実施している資産買い入れ策の
拡大の是非を検証するには一段の時間が
必要との考えを示した。

一部では、ECBが金融緩和を拡大する構え
との観測が出ていたが、ドラギ総裁は
こうした見方に否定的な立場を示した。

総裁は、ユーロ圏のインフレ率が目標の2%弱の
水準で安定するには、従来の想定よりも幾分
長い時間を要すると指摘。

追加緩和の用意はあるとしながらも、中国経済の減速、
ユーロ高、原油など商品(コモディティー)価格の
下落により、ユーロ圏のインフレ見通しが
想定軌道から逸脱するかどうかを分析するには
一段の証拠が必要とした。

「資産買い入れプログラムは十分な柔軟性を
備えている」とし、「金融政策による追加支援が
必要になれば、われわれは(プログラムの)規模、
構成、期間を適切に調整する」と言明した。

その上で「とりわけ新興国の経済減速が一時的、
または恒久的なものなのかを精査し、世界的な
コモディティー価格の下落、及び最近の金融市場の
混乱の原因を見極めるには一段の時間が必要」と指摘。

「このため、われわれは今後入手できる
すべての情報、及びこれらが物価安定見通しに
どのような影響を及ぼすのか、注意深く
見守っていく」と述べた。

米連邦準備理事会(FRB)も先週、中国経済
減速や国際金融市場の混乱、国内インフレの
低迷を理由に、事実上のゼロ金利を維持しており、
ドラギ総裁の発言はFRBの見解とも重なる。

総裁は今回の証言で、中国経済の減速を主要な
懸念の一つに挙げるとともに、新興国市場を
めぐる問題は「当面」続くとの見方を示した。

また、9月の購買担当者景気指数(PMI)など
最近の経済指標は、欧州経済が中国経済の減速の
影響に対する回復力を備えていることを
示しているものの、下半期の成長率は
上半期を「若干」下回ると警告した。

ギリシャについては、政府が支援プログラムを
着実に実行する場合、債務救済の余地は広がる
可能性があると述べた。