個人消費は弱さ脱しつつある、物価基調は着実に改善=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は16日、都内で開かれた
全国信用組合大会であいさつし、個人消費
ひと頃の弱さから脱しつつある、との認識を示した。

物価の基調は着実に改善し、目標とする2%に
向かって上昇率を高めていくと語った。

総裁は日本経済について「輸出・生産面に
新興国経済の減速の影響がみられる」としたが、
「企業・家計の両部門において所得から支出への
前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかな
回復を続けている」との認識を示した。

企業部門は9月日銀短観を踏まえ、過去最高水準の
企業収益が想定される中で「積極的な設備投資
スタンスが維持されている」と指摘。

家計部門も、個人消費について「各種の統計で、
7〜8月は4〜6月対比で増加している」とし、
「天候不順の影響などによる、ひと頃の弱さから
脱しつつある」と語った。

物価情勢は、足元で消費者物価(除く生鮮食品、
コアCPI)の前年比上昇率がゼロ%程度に
低迷しているが、エネルギー価格の下落が
要因と説明。

一方でエネルギーを除いたコアCPIの上昇率が
1%を上回っていることを示し、「物価の基調は
着実に改善している」と強調した。

先行きも、物価の基調は着実に高まり、「物価安定の
目標である2%に向けて上昇率を高めていく」と述べた。

海外経済については「中国を始めとする新興国経済が
減速している」としたが、「先進国経済は堅調に
推移しており、世界経済全体としては緩やかな成長が
続いている」との認識を示した。

また、日本の金融システムは「安定性を維持しつつ、
機能度を高めてきている」とし、金融機関や
機関投資家の有価証券投資も「運用の多様化を
進めつつ、リスク・テークを進める動きが
みられている」との見解を示した。