物価見通しを下方修正、2%達成2016年度後半頃に先送り=日銀展望リポート

日銀は30日、日本経済の2017年度までの見通しを示す
「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表、
2016年度までの従来の物価見通しを大幅に下方修正した。

2%の物価目標達成時期も
2016年度後半ごろに先送りした。

消費者物価(除く生鮮食品)の見通し(政策委員の
見通し中央値)は、2015年上昇幅が7月時点の0.7%から
0.1%に、2016年度も1.9%から1.4%に下方修正された。

消費税率の10%への引き上げを前提にした2017年度は
従来と変わらず、増税の影響を除くケースで1.8%とした。

原油価格は1バレル50ドルを出発点に、見通し期間の
終盤にかけて60ドル台前半に緩やかに上昇していくと
想定している。

消費者物価については、前年比(消費税率引き上げの
直接的な影響を除くベース)は、当面0%程度で
推移するとみられるが、物価の基調が着実に高まり
原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の
目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと
考えられるとして、従来からの見方を踏襲。

物価が2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって
左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに
上昇していくとの前提にたてば2016年度後半頃になると
予想されるとして、従来の2016年度前半頃から先送りした。

成長率の見通しは、2015年度について、新興国経済の
減速を背景とした輸出のもたつきや天候不順の影響などに
よる個人消費の鈍さから下振れているものの、2016年度と
2017年度については概ね不変であるとした。

2015年度は従来の1.7%成長から
1.2%成長に大幅下方修正。

2016年度も従来の1.5%から1.4%へ下方修正、
2017年度は0.2%から0.3%へやや上方修正した。

潜在成長率については、「0%台前半ないし
半ば程度」として、従来から変わっていない。

物価動向の背景となる要因については、労働や
設備の稼働状況を表すマクロ的な需給バランスは、
新興国経済の減速を背景とした輸出のもたつき
影響などを受けつつも、労働面を中心として、
着実に改善傾向をたどっているとした。

また、中長期的な予想物価上昇率はやや長い目で
みれば全体として上昇しているとして、こうした
予想物価上昇率の動きを受けて、企業の賃金・
価格設定スタンスは、特に本年度入り後、
明確に変化している、と指摘した。

先行きについては、日銀が「量的・質的金融緩和」を推進し、
実際の物価上昇率が高まっていくもとで中長期的な
予想物価上昇率も上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」
である2%程度に向けて次第に収れんしていくとした。

ただ経済情勢の上振れ・下振れ要因として、海外経済の
動向に関する不確実性、2017年4月の消費税率引き上げの
影響、企業や家計の中期的な成長期待、財政の中期的な
持続的可能性の信認低下を挙げた。

物価情勢も、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向、
労働需給の動向、物価上昇への感応度、原油価格といった
国際商品市況や為替相場の変動などに伴う輸入物価の動向を
挙げた。

金融政策運営については、量的・質的緩和」は所期の効果を
発揮しており、今後とも、2%の物価安定目標の実現を目指し、
安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的緩和を
継続すると表明。

その際には、経済・物価情勢について上下双方向の
リスク要因を点検し、必要な調整を行うとした。