英中銀、利上げ急がない姿勢表明=来年下期までインフレ率1%下回ると予想

イングランド銀行(英中銀)は5日、政策金利
過去最低の0.50%に据え置くことを決定した。

同時に来年を通して金利が据え置かれたとしても
インフレ率は緩慢にしか上昇しないとの認識を示し、
利上げは急がないことを示唆した。

カーニー中銀総裁は以前、利上げ時期に関する決定は
年末年始にかけて「より明確になる」と発言したが、
今回は中銀は適切な時期に行動を起こすと述べるに
とどめ、利上げ時期についてはこれまでよりも言葉を
濁す形となった。

英中銀が公表した金融政策委員会の議事要旨によると、
委員会は8対1で政策金利の据え置きを決定。

マカファーティー委員1人が
0.75%への利上げを主張した。

中銀は資産買い入れ枠を3750億ポンド(5710億ドル)に
維持し、償還金の再投資を継続することも決定。

景気刺激策を当面維持する姿勢を示した。

同時に公表したインフレ報告で、主にエネルギー・
食品などの輸入品の価格低下により、2016年下半期まで
インフレ率は1%を下回ると予想。

モデルからみた成長率は2015年は2.7%、
2016年は2.5%、2017年は2.7%になる
との見通しを示した。

中銀は「8月のインフレ報告以降、世界的な
経済成長見通しは弱まった」と指摘。

今回発表の新たな予想について「新興国経済の
より急激な減速など、下振れリスクがなお存在する」
とした。

カーニー総裁は記者団に対し、利上げ時期に
関する決定は年末年始にかけて「より明確になる」
と以前に発言したことについて「後悔していない」
と言明。

利上げ見通しは今も広がっており、各種調査によると、
家計の約3分の2が向こう1年間のある時点で金利
上昇し始めると予想しているとし、「先行き見通しを
踏まえると、こうした予想が出ていることは理に
適っている」との考えを示した。

ただ、世界的な景気減速の影響が英経済にも及ぶリスクは
存在しているとし、「中銀は適切な時に決定を下す」と述べた。

この日の決定については、「金融政策委員の過半数が、
現時点で金融引き締めに動くのは理にかなわないと
判断した」とし、「われわれは毎月、決定を行っていく」
との立場を示した。