豪政府、国益理由に外資への大規模牧場売却を阻止

オーストラリア政府は19日、同国最大の地主である
牧場運営会社S・キッドマンによる外国人投資家への
大規模な牧場売却を国益に反するとして阻止した。

オーストラリアでは、アジアの食糧需要の急増を
背景に外国人による土地買収が加速し、農地の
所有権が政治問題化している。

キッドマンが国内に所有する10の牧場の合計面積は
10万平方キロメートルを超え、韓国の国土面積に匹敵する。

最も大きい牧場の一部は兵器実験場がある
南オーストラリア州の立入制限区域に位置している。

同社は4月、他の事業や投資の資金を得るため、
牧場運営事業の売却を模索していると発表。

地元メディアは匯智資産管理と上海鵬欣の
中国2社が売却先の有力候補と伝えていた。

売却額は約3億5000万豪ドル
(2億5000万米ドル)とみられている。

モリソン豪財務相は声明で、キッドマンの所有する
土地の「規模と重要性」を踏まえると、現在の形での
外国人投資家への売却は国益に反すると説明。

売却に絡む国家安全保障上の問題にも言及した。

キッドマンのグレッグ・キャンベル最高経営責任者
(CEO)は、同社は政府の決定に驚いていると表明。

「政府と再び協議し、売却先候補がこれらの懸念を
解消できるかどうか具体策を検討する必要がある」とし、
売却先に国内パートナーを含めることや牧場の
分割売却の可能性を示唆した。

今年3月以降、オーストラリアでは、1500万豪ドル
(1250万米ドル)を超える農地を外国人が取得する
場合には外国投資審査委員会(FIRB)による承認が
義務付けられている。