原油安受けた物価の基調、価格設定行動への変化を注視=日銀金融政策決定会合議事要旨

日銀が24日に公表した11月18〜19日の金融政策決定会合
議事要旨によると、複数の委員が原油など国際消費市況の下落を
受けて仕入れ価格が低下する中で、企業の価格設定行動に変化が
生じてないか、注視する必要があるとの認識が出ていたたことが
明らかになった。

原油価格の下落を受けて、物価の基調の先行きを警戒する
議論があったことをうかがわせるもの。

会合では物価動向について、需給ギャップやインフレ期待などで
判断する「物価の基調的な動き」が重要との認識が共有された。

この点では、原油価格など国際商品市況が軟調に推移する中でも、
生鮮食品やエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)
などが伸びを高めており、「物価の基調は改善を続けている」との
認識で一致した。

ただ、先行きは、原油安を受けて足元の物価(除く生鮮、
コアCPI)がゼロ%程度で低迷を続けており、来年度の
春闘など賃金交渉で「基調的な物価の動き」が反映されなければ
「家計が食料品や日用品の値上げに抵抗感を再び強めるリスク」が
あると複数の委員が懸念した。

さらに、国際商品市況の下落を受けて仕入れ価格が低下するもとで、
「企業の価格設定行動に変化が生じないか、注視する必要がある」と
複数の委員が指摘した。

複数の委員は、企業収益が高水準にあるにもかかわらず、
賃金上昇の動きが鈍いことについて、「現状はまだ完全雇用
達していないことの証左」と分析し、「引き続き総需要の
拡大が重要」と主張した。

会合では、為替スワップ市場などでドル資金の調達コストが
上昇していることについても議論が行われた。

背景について何人かの委員が、1)年末の資金需要という
季節的要因、2)米利上げ観測の高まり、3)国際的な
金融規制強化など構造的要因、などを紹介。

政策委員は「市場の動きには留意が必要」とした上で、
「現状、わが国の金融機関のドル資金繰りに問題は
生じていない」との見方を共有した。